暗号資産

2024.12.21 11:00

ブラックロックのビットコイン動画が物議、「発行上限の変更」の記述で

ブラックロックのローレンス・フィンクCEO(Sean Gallup/Getty Images)

ブラックロックのローレンス・フィンクCEO(Sean Gallup/Getty Images)

世界最大の資産運用会社であるブラックロックが公開した現物ビットコインETFのプロモーション動画が物議を醸している。ビットコインの希少性は、総供給量の上限が2100万枚に制限されていることに由来しているが、同社が公開した動画には、この制限が「将来的に変更されない保証はない」との注意書きが小さな文字で表示されていたのだ。
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マイクロストラテジーのマイケル・セイラーが共有したことで注目を集めたこの動画は、ビットコインの発行数量の制限が、「ハードコード化されたルールによって供給量を管理し、無制限の発行を防ぐ助けとなる」とナレーションで説明している。

しかし、この説明の途中で画面の下に小さな文字で、「ビットコインの供給上限が2100万枚に固定されたままであるという保証はない」との注意書きが表示される。ビットコインは、金のような希少なデジタル資産としての評判を高めていが、この警告はその信頼性を損なう可能性がある。
物議を醸すこの警告は、ビットコインがブラックロックのような大手に乗っ取られるのではないかとの懸念を暗号資産コミュニティの一部で引き起こしている。「彼らは最終的にこれが起こることを、人々に受け入れさせようとしている。供給の上限が引き上げられるとき、それは『もともとの計画の一部だった』という話になる」と、暗号資産Dash(ダッシュ)の発行元のセールス&マーケティング担当者のジョエル・バレンスエラは、X(旧ツイッター)に投稿した。

ただし、この警告について一部の専門家は、「これはブラックロックの法務部が投資商品の販売上必要な記載として指示したものであり、過度に心配する必要はない」と述べている。
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最後のビットコインが発行されるのは2140年ごろになると考えられているが、発行可能なビットコインの量はビットコインのコードに組み込まれており、このルールを変更するためには、マイナー(採掘者)と呼ばれる人々の合意が必要だ。仮に大多数のマイナーが供給制限の引き上げに賛成した場合、ネットワークはフォーク(分裂)し、少数派のマイナーは引き続き2100万枚に制限されたネットワークの維持に向けてコンピューティングパワーを注ぐことになる。

現物ビットコインETFは16兆円規模に

ブラックロックは昨年、現物ビットコインETFを米証券取引委員会(SEC)に承認させるための取り組みを主導し、1月にiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)と呼ばれるETFを上場させた。

ブルームバーグ・インテリジェンスのデータによれば、米国の現物ビットコインETFの資産総額は、11月に1000億ドル(約15.7兆円)を突破したが、ブラックロックのETFの資産総額は約600億ドルに達しており、史上最も急成長したETFの一つとなっている。

一方、今年初めにビットコインの批判者として知られるJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、「ビットコインの供給量が将来的に変更される可能性があると考えている」と述べていた。

「どうしてビットコインの供給が2100万枚で止まると分かるんだ?」とダイモンCEOは、ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の場で問いかけた。「私は、これが事実であると話す人に一度も会ったことがない」と彼は主張した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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