経済・社会

2024.12.22 11:00

デジタル鎖国のイラン、スターリンク端末が「闇市場」で出回る 2万人が利用

Getty Images

デジタルに対する抑圧との闘い

ロサンゼルスを拠点とする活動家団体Holistic Resilienceのアフマド・アフマディアンは、「イランでスターリンクが大規模に普及すれば、デジタルに対する抑圧との闘いにおける革命となる可能性がある。米国資本のラジオ・フリー・ヨーロッパが冷戦時代のソ連のプロパガンダの壁を打ち破ったように、スターリンクはイラン政府のデジタル版『鉄のカーテン』を破壊できるかもしれない」と述べている。
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モハンマドの場合、スターリンクの衛星インターネットは仕事に役立つという。彼の業務は、カナダ在住の顧客と連携する必要があり、イランのきわめて遅いインターネットが業務における障害となっていた。彼は、顧客のDropboxにアクセスできず、ファイルやドキュメントを送信できないこともあった。

モハンマドは、「NasNet」と呼ばれるペルシア語のテレグラムチャンネルでスターリンク端末の売り手を見つけたという。「まるでピザを受け取るような感じだった」と彼はフォーブスに語った。

NasNetはスターリンクの普及を後押しするだけでなく、セットアップや技術的問題についての解説をYouTubeで公開している。これらの動画は主に、ヨーロッパに10年間住んでいる匿名のイラン人女性が制作しており、プライバシーを守るため顔を隠している彼女は、フォーブスに対して「オープンで検閲のない高速インターネット接続は、人生を変える力を持つのです」と語っている。
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「それは、多くのイラン人にとってほとんど信じられないものです。砂漠の真ん中で突然井戸を見つけた人のようなものです。最初はそれが本物だと信じらません」と彼女は続けた。
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編集=上田裕資

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