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160年ぶりの大変革を見逃すな! 北海道が映す日本の未来

北海道の企業はアジア市場を目指せ

阿部:とにかく民間投資が進まないというのが北海道の積年の課題なんです。このチャート(北海道の生産および生産要素)を見ても、北海道の人口518万人は日本の全人口の4.1%に当たるわけですが、GDPで見ると、北海道のGDPは日本全体のGDPの3.7%でしかない。つまり、一人当たりのGDPが全国平均よりも低いわけです。
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一方で面積で見ると、日本全体の22%を北海道が占めている。ポテンシャルはあるんだから、北海道は「これからなんだ」という言い方もできます。そのカギを握るのは政府依存から抜け出して、民間が立ち上がることができるかどうか。

※面積は2022年4月時点。 ※1 単位:兆円以下、四捨五入。名目値 ※2 単位:万人以下、四捨五入。 出所:北海道経済企画局、国土地理院よりスパークス・アセット・マネジメント作成

※面積は2022年4月時点。 ※1 単位:兆円以下、四捨五入。名目値 ※2 単位:万人以下、四捨五入。 出所:北海道経済企画局、国土地理院よりスパークス・アセット・マネジメント作成

藤吉:そういう意味では、新しい世代の面白い経営者が北海道にいるなとは感じます。

阿部:北海道の調剤薬局大手で「アインファーマシーズ」という会社があって、ここの大谷(喜一)社長とはアインが上場した時からつきあいがあります。
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アインが上場後苦境にあった時に投資したことがあったんですが、大谷さんは今でもそれを覚えていてくださっていて、社史にも「あのとき、スパークスが……」と書いてくれているほどで(笑)。ただアインは大成功した会社ですが、モノを作っているわけじゃないんですよね。

藤吉:やっぱり製造業が必要ですか。

阿部:そうですね。雪印とかよつ葉とか北海道ならではの酪農関係の会社はありますが、成長に限界があるんですね。というのは、やっぱり市場が常に東京なんですよね。

僕はこれからの北海道は、もっと別の場所、具体的にはアジアに市場を求めていくべきだと思います。

藤吉:シンガポールやタイなどアジアの国々では北海道ブランドの商品が人気だそうですね。北海道へのインバウンドもほとんどがアジア圏からですし。

阿部:何といっても所得の上昇力が違うんです。このチャートは以前も見ていただいたかと思いますが、アジアにおける年間可処分所得が35000ドル(約500万円)以上の人口の変化を表しています。日本は今、6900万人いますが、2030年には6600万人に減ってしまう。

出所: Euromonitor, UN, SPARX

出所: Euromonitor, UN, SPARX

逆に中国は今、既に1.5億人いますが、2030年には3.9億人に膨れ上がります。同じようにインドは1800万人→1.6億人、ASEANは2200万人→8500万人と増えるので、アジア全体でみれば2030年には、所得35000ドル以上の人が6.5億人に増えると予想されています。

つまり日本の人口の9.8倍の富裕層の市場が出来ていくんです。東京の市場を目指すよりも、最初からアジアを目指したほうが理に適ってますよね。

藤吉:確かにその通りですね。
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ext by Hidenori Ito/ photograph by Kei Onaka

連載

市場の波をつかむ12の方法 スパークス代表・阿部修平×Forbes JAPAN 編集長・藤吉雅春

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