・目的地ではなく、旅に目を向ける
ピーク(忘れがたい最高の思い出)とエンド(破局や最後の瞬間)にとらわれるのではなく、関係全体について考えるようにしよう。単純なことに思えるかもしれないが、これには意識的な努力が必要だ。有意義な変化の多くは、「困難を乗り越えること」なしには生まれないものだからだ。いっしょに笑ったことや、日常のちょっとした親切、ふたりが経験した成長といった、平穏な時間を思い出そう。当時はそれほど強烈な体験とは感じなかったとしても、こうした時間は、長く続く愛の基礎をなすものだ。・思慮深く「ポジティブな終わり方」を意図する
恋愛関係が終わりつつあると感じたら、ポジティブなエンディングを意図しよう。お互いから何を学んだかを率直に語り合ったり、最後に何かしらの体験を共有したり、ただ思いやりをもって別れたり、内容は何でもいい。思慮深い終わり方によって、関係全体をポジティブな観点から見ることができるようになる。そして、破局につきものの重く沈んだ感情を和らげることができる。・思い出を捉え直す
恋愛関係の全体について考えることで、思い出を別の角度から捉える練習をしよう。この関係から何を学んだか? 強烈な感情を伴ってはいなくても、記憶に残っているちょっとした意義深いできごとは何か? ポジティブな日常の1コマを積極的に探すことで、「関係をどんなふうに思い出すか」を意識的に変えることができる。・新しく始まる恋愛関係では、バランスを求める
新しく恋愛関係が始まったら、「興奮」と「静かな時間」のバランスに気を配ろう。最初の頃のデートや、ロマンティックな振る舞いに伴う熱烈な感情を常に期待するのはやめて、自分とパートナーにプレッシャーをかけることを避けよう。最も強固な関係はしばしば、信頼や相互理解、共有体験に根ざしたものであり、これらは「ピークの強烈さ」よりも重要だ。・感情の振れ幅全体を受け入れる
ピークとエンドは、恋愛に伴う感情の振れ幅のなかの2つの点でしかないことを理解しよう。恋愛関係が痛みを伴う終わりを迎えたからといって、良質な時間を満たしていた愛やつながりの価値が失われるわけではない。学術誌『Cognitive Therapy and Research』に掲載された2020年の研究によれば、過去のポジティブな感情を楽観的に振り返ることは、メンタルヘルスの増進に有効だ。ネガティブな感情ではなくポジティブな感情に注目した人は、ウェルビーイングが良好で、抑うつ症状が少なく、回復力が高い傾向を示した。感情の振れ幅を、良い部分も悪い部分も全部ひっくるめて受け入れることで、癒やしと、感情面での成長を得ることができる。ピーク・エンドの法則は、私たちの脳が、強烈な体験と結末に注目しがちであることを教えてくれる。だが、これらはパズルの一部でしかない。良い恋愛関係とは、特別な瞬間と終わり方だけで定義されるものではない。その間に存在していた経験やルーティン、喜び、意見の不一致、成長といった、あらゆる要素がその価値を決めるのだ。
(forbes.com 原文)