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2024.12.20 08:00

販売不振に直面するテスラ、米国での市場シェアは「50%以下」 割引販売開始

「2024年はテスラにとって厳しい年だった」(Shutterstock.com)

「2024年はテスラにとって厳しい年だった」(Shutterstock.com)

イーロン・マスクは2016年に、テスラが割引を行わないと宣言したが、ここ最近は、その姿勢を改めたようだ。

同社はここ数カ月で売れ筋のModel 3とModel Yを月額299ドル(約4万7000円)という大幅に安いリース価格で提供し始めた(この価格にはトランプが廃止を目指している7500ドル[約118万円]の連邦税控除が含まれている)。また、既存のテスラの所有者から紹介コードを取得した新規顧客には2000ドル(約31万4000円)の割引を提供し、中国では無利子ローンも展開している。

その背景には明確な理由がある。業界予測を行うコックス・オートモーティブによれば、テスラの米国での販売台数は今年、前年から6%減少する見込みだ。また、中国での納車は引き続き増加しているものの、米国やヨーロッパでの受注の減少により、テスラがグローバルで初めて販売台数を減少させる可能性がある。同社は、年末に向けて注文を増やし、販売台数を伸ばすための戦略として、これらの割引を行っている模様だ。

米国でのシェアは50%以下に

コックスのシニアエコノミストのチャーリー・チェズブローは、12月17日のブリーフィングで「2024年はテスラにとって厳しい年だった」と述べた。コックスの予測では、テスラの米国における電気自動車(EV)の販売シェアは2023年の55%から2024年には49.5%に低下する見通しだという。マスクは10月に、「今年はわずかながら納車数を伸ばすと予想している」と述べたが、アナリストたちは懐疑的だ。

しかし、同社の収益の約80%を占める自動車事業の停滞は、株価には影響を与えていない。テスラの株価は、年初から約80%上昇しており、マスクの保有資産は過去最高の4640億ドル(約73兆円)に達している。

投資家たちは、マスクが選挙戦で後押ししたトランプ次期大統領が、テスラのような企業に対する規制を緩和し、安全性に関する調査を終了させ、ロボタクシーの運行を容易にする新たな法律を施行することを期待している。

古びたラインナップ

しかし、テスラがロボタクシー分野で急成長中のアルファベット傘下のウェイモに追いつけるかどうかは未知数だ。金融サービス企業Bairdのアナリストのベン・カロは、「ロボタクシーの展開の遅延や事故の発生の可能性が、将来的にテスラへの懸念材料になる」と述べている。

また、テスラのEV事業における課題の1つは、ラインナップが限られており、競合メーカーに比べて新鮮味に欠けることだ。同社の10万ドル(約1570万円)のCybertruck(サイバートラック)は注目され、物議を醸しているが、テスラは、2019年のModel Yの発表以降に新たな主力車種を追加していない。また、2番目に売れているModel 3は、2017年の発売以来ほぼ変更がない。
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編集=上田裕資

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