初期の研究では、「前世体験」について、「(現在の自分とは別の)特定の人物として、過去のある時点または人生で経験したとされること」と定義している。「こうした自然発生的なアイデンティティの重なりは、生後24~60カ月の子どもたちに反復的かつ持続的に見られるが、現在のアイデンティティを否定するものではない」
ここでは、前世の記憶とその体験者について、研究に裏付けられたインサイトを2つ紹介しよう。
1. 前世の記憶にはパターンがある
『Explore』に発表された2021年の研究によれば、前世体験は世界各地のさまざまな文化で報告されており、それらの物語には、あるパターンが見られる。まずは多くの場合、子どもたちは2歳ごろから前世の記憶を思い出すようになる。そして、学校に通い始めてしばらく経った9歳ごろまでには、前世の記憶について語ることがなくなっていく。
多くの子どもが、前世のものとされる出来事や名前、家族、場所について説明する。
また、前世における暴力的または不自然な死を思い出す人は多い。調査を受けた人のうち約20%が、前世と現世のあいだに「中断」期間があったと述べている。前世で死んでから現世に生まれるまでの平均期間は16カ月だった。
興味深いことに、これらの報告では、「前世における死に方や生活様式」に関連する、現在の恐怖症や嗜好にも言及されている。例えば、前世で溺死したことを覚えているという子どもは、現在も泳ぐことを怖がる傾向がある。
また、調査を受けた人の多くが、現在のアザや先天異常は、前世に負った傷と対応していると示唆している。さらに、ゼノグロシー(学んだことのない言語を話すことができる)など、教えられていない能力や行動を示す子どももいる。
『Journal of Near-Death Studies』に発表された臨死体験研究によれば、臨死体験をした人も、前世の記憶を持つ子どもたちのように、前世の記憶を思い出すことがある。
例えば、リンパ腫で昏睡状態にあったアニータ・ムアジャーニは、自身の体験を次のように振り返っている。
「意識が朦朧とした状態で、私の魂が私の体から離れていくのを感じた。『あちら側』に入り込むたび、私はいくつもの場面を見せられた。兄が飛行機に乗っていたという場面があった。私がもうすぐ死ぬと聞き、会いに来ていたのだ。これは後で確認できた。私が意識を取り戻したとき、兄はちょうど飛行機から降りたところだった」