歴史的に、女性たちには富を築く機会があまり与えられずにきた。それはいまだに続いている。現在も、男女の賃金には格差がある。同じ仕事をしても、収入は女性の方が少ない。
また、女性はベンチャーキャピタルから十分な資金を調達することができないという悲しく不平等な状況にも、改善の兆しは見られていない。女性による借り入れに対しては、金融システムに根付く偏見がある。より多くを稼ぎたいという女性たちへの偏見や悪いイメージもある。
だが、富に関して女性が置かれた状況が変化すれば、それによる波及効果が生じる。女性たちは手にした資金を、自らが属するコミュニティに再投資するだろう。そのコミュニティの中心にあるのは、教育や医療、小規模企業だ。
女性たちは将来の世代のために、遺産を受け継がせるために、富を築くだろう。若い世代は女性たちから刺激を受け、自分に何を成し得ることについてのヒントを得るだろう。女性たちが経済的な成功を収めれば、同じような目標を定め、追求する人も増える。
偏見をなくすことが重要
問題は、経済的に豊かになろうとする女性たちが障壁に直面するということだ。私たちは、社会に深く根ざしたメッセージを受け取っている。文化的に、お金に関して野心を持つことを「強欲」だとする偏見がある。そのため女性たちは給与について交渉したり、起業したり、投資したりすることが少ない。それらを行動に移せるだけのリソースがないからだ。金融リテラシーが低いこと、経済的に成功した女性のロールモデルが少ないことなどによって、この悪循環は断ち切られることなく続いている。
だが、固定観念は打破すべきだ。女性たちが豊かになることは、すべての人々にメリットをもたらす。主に次の3つの理由から、女性が経済的に豊かになることは、重要だといえる。
1. 女性の潜在力を制限してきた「障壁」がなくなる
「女性に資金管理や大企業の経営はできない、自分のためにより多くを稼ごうとする女性は強欲だ」といったメッセージの発信はやめなくてはならない。私たちがこうしたメッセージに異議を唱えることで、これまで女性たちを押しとどめてきた障壁を取り除き、新たな機会と可能性への扉を開くことになるだろう。女性たちは、富の創出と経済におけるリーダーシップに、より深く関わっていく必要がある。2. お金とジェンダーへの文化的態度が変わる
巨額の収入を得られるのは男性だけ、そうするのにふさわしいのは男性だけということはない。そう考えれば、女性たちがより多くを稼ぐことに野心を持つことも、普通のことになるだろう。そして、より多くの富を持つことは女性にとっても、強さと自立、そして力の証しだと捉える文化が育まれることになる。3. 女性の富が持つ「変革の力」が解放される
過去の調査から、女性は経済的に余裕があれば家族や地域社会、慈善団体に投資することがわかっている。そうした投資は、コミュニティの発展、教育の向上、経済成長など、社会により広範なメリットをもたらすだろう。──要するに、世界が変化を起こすためには、より多くの女性ミリオネアが必要だということだ。経済的な豊かさは議論に参加する機会と、政策や変化に影響を及ぼしうる力を、女性たちに与える。それは、あらゆる人たちの利益になる。
(forbes.com 原文)