経済・社会

2024.12.24 16:45

トランプが変える地球経済 Forbesが見た歴史的転換への道

2024年12月24日発売の「Forbes JAPAN」2月号では、国内外の賢人たちによる「2025年総予測」を特集。第2次トランプ政権が発足する25年1月以降、世界経済はどうなるのか。また、加速する人口減少のなかで、日本経済はどう変化するのか。今年のノーベル賞受賞者ジェイムズ・A・ロビンソンをはじめ、マルクス・ガブリエル、石黒浩、川邊健太郎、JO1など国内外の研究者・経営者・アーティストなど各界の第一人者にインタビュー。そこから見えてくる未来から、今を生きる私たちにとっての「希望」を描き出す。

米Forbesは第二次トランプ政権を「太陽系」にたとえた。トランプに引き寄せられた惑星が振り回されるイメージだ。そんなトランプ新政権誕生とともに幕を開ける新時代は、どう作られていくのか。


まさに「トランプ・マスク政権」と言っても過言ではないかもしれない。政府の歳出を削減する政府効率化省(DOGE)が新設され、提唱者のイーロン・マスクがトップに就任した。希代のイノベーターであり、破壊者であるイーロン・マスクがディール政治のトランプとどんな時代をつくるのか。まずは「トランプ系宇宙の誕生」と銘打った米Forbesの最新号(24年12月-25年1月)のレポートから紹介しよう。

米大統領選で当選確実となった夜、ドナルド・トランプは勝利演説で、自身の政界復帰を支えた人々に感謝を述べていた。そのとき、群衆のなかから「イーロン! イーロン! イーロン!」という声援が湧き上がった。

「新しいスターが誕生した。スターの名はイーロンだ!」とトランプは称賛。その後世界一の富豪について4分間の即興スピーチを始めた。78歳の次期大統領であるトランプは、この「超天才」にアメリカの政策と連邦予算をかたちづくる広範な権限を与えると約束している。
ELON MUSK|トランプ大統領が家族や副大統領のヴァンスよりも時間をかけて賞賛したのが、テスラやスペースXのCEOを務める起業家のイーロン・マスク(写真)だった。2022年までは接近と反発を繰り返していた両者だが、マスクが今回の大統領選でトランプを資金でもソーシャルメディア上でも全面的に支援。新政権では、起業家・投資家のヴィヴェク・ラマスワミと、米政府効率化省(DOGE)を主導する役割を担う。(Getty Images)

ELON MUSK|トランプ大統領が家族や副大統領のヴァンスよりも時間をかけて賞賛したのが、テスラやスペースXのCEOを務める起業家のイーロン・マスクだった。2022年までは接近と反発を繰り返していた両者だが、マスクが今回の大統領選でトランプを資金でもソーシャルメディア上でも全面的に支援。新政権では、起業家・投資家のヴィヴェク・ラマスワミと、米政府効率化省(DOGE)を主導する役割を担う。(Getty Images)

マスクは「次世代のトランプ派」のなかで最も有名で、群を抜いて裕福な存在だ。ほかには、ポッドキャスターのジョー・ローガン、バイオテクノロジーで成功した億万長者のビベック・ラマスワミ、そしてUFC(総合格闘技)代表のダナ・ホワイトが名を連ねている。

一部は閣僚として起用される見通しだが、ほかの者は、トランプがゴルフをしたり、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴで食事をしたり、FOXニュースを観たりしている間に耳打ちをする「キッチンキャビネット」(非公式の助言者)として、閣僚よりさらに影響力のある役割を担うかもしれない。

この役割は決して楽なものではない。ブルッキングス研究所によれば、トランプの第1次政権では高官の92%が入れ替わった。国家安全保障担当補佐官を4人、広報担当ディレクターを7人交代させ、その中にはたった11日間で解任されたものもいる。非公式の助言者たちも同様に次々と信任を失ったり、取り戻したりを繰り返した。

それにもかかわらず、卓越した経歴を持つひとたちが次々とポストを求めて名乗りを上げている。投資家のスコット・ベッセントは財務長官に指名され、マスクとともに連邦支出を削減する予定だ。「内からでも外からでも関わりたい」とベッセントは語るが、皮肉にも彼はかつて、MAGA(トランプ支持者)にとって敵である著名な投資家ジョージ・ソロスの元で働いていた。
MAGA|Make America Great Again(米国を再び偉大な国に)──。トランプ大統領が一貫して使ってきた選挙スローガン「MAGA」は、彼の支持層を象徴する言葉となった。MAGAの支持を受けた議員が共和党内で存在感を高める一方、利害関係の不一致により党内の火種になっている。共和党のケビン・マッカーシー院内総務が下院議長に選出されるまでに15回も選挙を要したように、党内運営も紆余曲折が予想される。(Getty Images)

MAGA|Make America Great Again(米国を再び偉大な国に)──。トランプ大統領が一貫して使ってきた選挙スローガン「MAGA」は、彼の支持層を象徴する言葉となった。MAGAの支持を受けた議員が共和党内で存在感を高める一方、利害関係の不一致により党内の火種になっている。共和党のケビン・マッカーシー院内総務が下院議長に選出されるまでに15回も選挙を要したように、党内運営も紆余曲折が予想される。(Getty Images)

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文=ジョン・ハイアット、川上みなみ

この記事は 「Forbes JAPAN 2025年2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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