そこで、今年刊行した5冊の書籍を投入知識として、次代を担うリーダーの方々の疑問・質問に答える対話型コーチAIをChatGPTのカスタムGPTの機能を使って構築してみました。
ハルシネーションの可能性が高くなるので、外部APIは一切アクセスしないこととし、純粋に著書に記載した内容を投入知識として、対話的に質問者の疑問に答えるコーチAIツールとしました。GPTに指示をあたえるプロンプトで動作を制御することになるのですが、プロンプト作成には試行錯誤が必要なのと、GPTそのものが同じ質問をしても同じ答えが返ってくるわけではないという特性を理解しつつ、カスタムGPTを構築する必要がありました。
この対話型コーチAIツールは「ちゃたにコンパス」としてリリースしましたが、これはある意味、技術経営や先端開発における私の知見や経験の集大成的な知識の塊であり、その対話機能は私の「デジタルツイン」的な存在といってもよいかもしれません。「ちゃたにコンパス」の利用にはChatGPTのアカウントが必要ですが、https://c-compass.office-chatani.com からアクセスいただけます。
仕事や趣味で多くのドキュメントを残されている方も少なくないと思います。業務上の情報はオープンなGPTの仕組みには投入しづらいと思いますが、最近はクローズドな仕組みをIT各社が提案しつつあり、業務情報を投入して、社内の知識や先輩方の知見を対話型で取り出すことができるようになります。こういったこれまで暗黙知的だったり、デジタル化されていないために伝承・継承しにくかったノウハウや知見・経験を部下や後進が時間の枠を超えて活用できる時代になったということになります。
加えて、言語翻訳の精度も生成AI以後急速に高まっており、世界中の方々が母国語で記載した文書で共有した知見や経験を利活用できる可能性が大きくなっている訳です。学術論文のような難解な文章を短く要約することも生成AIの得意な領域の一つで、高度な知識も広く共有することができはじめています。
これまで文書や書籍の形で知見・知識が有機的に十分結合されてなかった状態が生成AIの登場とカスタムGPTにより、より有機的に結合し、対話型で質問者の疑問や困りごとにこたえられる便利な時代が来たのです。