直近の決算動向
コストコは米国時間12月12日に2025年度第1四半期(Q1)決算を発表し、当日の株価は日中の取引で約1.5%上昇した。収益は前年同期比8%増の621億5000万ドル(約9兆5531億円)で、EPS(一株あたりの純利益)は前年同期比13%増の4.04ドルだった。市場予想はそれぞれ620億8000万ドル(約9兆5423億円)、3.79ドルであり、両方の数字とも予想を上回る結果となった。コストコ全体の既存店売上高は前年同期比5.2%増だった。これは、顧客の来店頻度が米国で4.9%増、全世界で5.1%増となり、顧客あたりの平均購買金額も、為替の逆風などがあったものの米国で0.3%増、全世界で0.1%増となったことによる。
コストコは、常に変化し続ける小売業界において成功を続けており、顧客体験の向上や収益の増加を実現してきた。米国では現在も新店舗の開発が進むほか、中国を含む海外での継続的な成長に向けて、同社は十分な態勢を整えている。
コストコは利益の大半を会員収入から得ているため、既存店売上高の伸びは他の小売業ほど重要ではない。Q1の会費収入は12億ドル(約1800億円)で、前年同期と比べ約8%増加した。今期は、2024年9月1日に実施された8.3%の会費値上げの影響が全面的に出た。米国におけるプレミアム会員の料金は120ドル(約1万8400円)から130ドル(約2万円)に、年間最大2%のリワード付きのエグゼクティブ会員の会員費は1000ドル(約15万3600円)から1250ドル(約19万2000円)に上昇した。ベーシック会員の年会費もまた、60ドル(約9200円)から65ドル(約1万円)に値上がりしている。コストコはこれまで約5年ごとに会費を値上げしていたが、今回の値上げは2017年以来、7年ぶりのことだった。近年のインフレが同社の会員費値上げを遅らせた可能性がある。
有料会員世帯数は前年同期比8%増の7740万世帯、カード保有者総数は同7%増の1億3900万人でどちらも増加した。Q1末時点における米国およびカナダの会員権の更新率は92.8%で、前四半期末から0.1%低下した。全世界での更新率は90.4%で、こちらも0.1%低下している。更新率が高ければ、会費収入が安定的に確保されるだけでなく、顧客ごとの生涯価値が高まるため、全体的な収益性も高まる。コストコの長期的な成長可能性を計算する際には、この指標を注視する必要がある。