米テックメディアのテッククランチによると、米ワシントン州レドモンドに本社を置くルーメン・オービットは多くのベンチャーキャピタル(VC)を引き付けており、このほど1100万ドル(約17億円)のシードラウンドを完了。企業評価額は4000万ドル(約63億円)となった。
ルーメン・オービットの資金調達計画については、ムーンショット(非常に難しいが実現すれば大きな効果を生む壮大な目標)だとみる人もいた。だが、米名門アクセラレーター、Yコンビネータの「デモ・デイ」を終えたルーメン・オービットはすでに注目を集めていた。
同社にはすでにいくつかの大企業が出資しており、続く企業がありそうだ。
投資家にはNFXやソーマ・キャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(略称a16z)やセコイアが名を連ねている。報じられたところによると、新たな資金調達の計画もすでにあるようだ。
データセンターを宇宙へ
投資家の目にかなり魅力的に映っているルーメン・オービットだが、何をする企業なのかというと、宇宙にデータセンターを設置しようとしている。この構想を支持する人々は、ルーメン・オービットを「New Space Economy(新宇宙経済圏)」の担い手の一翼とみている。これは、企業や国家が地球の大気圏外にデータセンターを設置しようという構想だ。
たとえば、欧州連合(EU)のASCENDというプロジェクトは次のように説明されている。「ASCENDはEUの『ホライズン・ヨーロッパ』プログラムの一環として仏企業タレス・アレーニア・スペースが主導する実現可能性調査である。調査目的は、宇宙空間に大容量データセンターを展開するにあたっての技術面での実現可能性と環境面での利点を実証することだ」
宇宙でデータ処理をするためには
新技術に取り組む人々が宇宙にデータセンター設置を目指す理由の一つは、巨大なシステムの運営に必要な土地や冷却のための資源の確保を心配しなくてもいいからだ。宇宙空間は無限で、設置にあたって土地の心配をする必要がない。また、宇宙空間は低温なため、サーバー稼働時の冷却に大量の水を用意する必要もない。
宇宙データセンターは基本的に太陽光発電で稼働し、太陽光が確保できない間はバッテリーに蓄えた余剰の電力を使用する。
科学者たちはすでにシミュレーションを終えているようで、こうした設計によりデータを宇宙から地球に送り返すのに必要なエネルギーと、コンピューティングに必要なすべてのエネルギーを賄える見込みだ。