サイエンス

2024.12.18 08:00

米国の謎ドローン騒動、集団ヒステリー化の様相 金星を誤認したケースも

米マサチューセッツ州ケープコッドの夕空(SteveBosselman/Getty Images)

ソーシャルメディア上では実際、金星をドローンと見間違えただけの事例も幾つか指摘されている。金星はかなり明るく、大気の屈折率の変化によってきらめいて見えることもある。
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気象学者のマシュー・カプッチは、謎のドローンを撮影したものとして米メディアが報じた動画について、正体は金星だと一蹴。X(旧ツイッター)への投稿で「地球は自転しているので、恒星や惑星は空を少しずつ移動する。望遠レンズを三脚にセットして超高倍率で撮影すれば、55秒間の動画でも星が揺れ動いて見える」と説明した。

カルチャー誌ローリング・ストーンのシニアライターであるブライアン・ハイアットは「『ドローン』とされる幾つもの動画の正体が飛行機や金星だったと判明した後では、ニュージャージー州上空を本当にドローンが飛んでいるのかどうか疑問に思わずにはいられない」とXに投稿している。
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実際問題、もっと詳しい情報が欲しいところだ。その点、写真家アンドリュー・マッカーシーのこの投稿は的を射ていると思う。「民間航空機や金星、その他の星をドローン呼ばわりし始めたことで、すべての信憑性は失われた。とにかく何が起こっているのか知りたい。みんな気が変になってしまったみたいだ」

ドローンは、現代社会に実在する。ジョージア大学大学院での筆者の教え子のひとりは、都市のヒートアイランド現象に関する研究調査にドローンを使用していた。食事のデリバリーサービスに活用される日も近いだろう。しかし、AI(人工知能)や機械学習と同様に、一般の人々の多くにとってドローンは馴染みのない存在であり、それが恐怖を生み出している。

今起きている集団ヒステリーが、実害をもたらすような非合理的な行動に発展してしまわないかと懸念している。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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