ソフトバンクの創業者でCEOの孫正義とトランプは12月16日、フロリダ州のマー・ア・ラゴで開いた共同記者会見でこの取り組みを発表した。
東京を拠点とするソフトバンクは、今後の4年間で米国内の事業に1000億ドル(約15兆4000億円)を投じると発表した。この金額は、同社が2016年12月にトランプの1期目の政権に向けて発表した500億ドル(約7兆7000億円)の投資の2倍となる。
「トランプ大統領は倍賭けをする大統領だ。だから私も倍賭けをする」と孫は記者団を前に語った。この投資計画は、AIや関連産業でおよそ10万人の雇用を生み出すことを目標とすると彼は説明している。
フォーブスは、孫が2016年に公約した500億ドルの投資がほぼ実行されたことをその3年後に確認したが、雇用の創出効果ついては追跡が難しく、特にソフトバンクが出資したWeWorkの事実上の崩壊後のその効果には疑問が残った。
この日の共同記者会見では、トランプが投資額を2倍の2000億ドル(約30兆8000億円)に引き上げるよう求める場面もあった。これに対し孫は、「彼はすごい交渉人だ」と冗談交じりに語った。
ソフトバンクの巨額投資の具体的な詳細は明らかになっていない。AI分野における主要プレーヤーである同社は、ビジョン・ファンドを通じて英半導体大手アーム・ホールディングスの過半数株式を保有し、ChatGPTの開発元のOpenAIにも15億ドル(約2300億円)を投資している。
ただし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ソフトバンクの手元の現金は約300億ドル(約4兆6000億円)で、残りの資金をどのように調達するのかはまだ不明だという。
フォーブスは、日本の2番目の富豪で、世界で56番目に裕福な人物である孫の保有資産を320億ドル(約4兆9000億円)と推定している。
トランプは16日の会見で、孫を「我々の時代で最も成功したビジネスリーダーの1人」と評した。AIが2035年までに人間の1万倍の知能を持つと考える孫は、トランプの新たな政権下での米国に強気な姿勢を示す世界の富豪のうちの1人だ。
イーロン・マスクをはじめ、アマゾンのジェフ・ベゾスやメタのマーク・ザッカーバーグ、OpenAIのサム・アルトマンなどのハイテク業界の富豪たちも、2期目のトランプ政権下のテクノロジー業界の見通しを楽観し、就任式に多額の寄付を行っている。
(forbes.com 原文)