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2025.01.17 11:00

協創/共創から社会実装へ。イノベーションを活性化するpoint 0の3つの戦略

Forbes JAPANは、協創/共創のための事業共同体 point 0が発行するアニュアルレポートを2021年より制作。point 0から生まれる企業同士の化学反応や新たなソリューションに注目している。
point0の事業はどのような戦略によって成長し、変化を遂げているのか。取締役4名へのインタビューを、point 0 annual report 2023-2024から抜粋して
掲載する。

>>point 0 annual report 2023-2024のダウンロードはこちらから


「point 0 marunouchi」が誕生して5年。さまざまなプロジェクトを推進してきたpoint0がいま、事業の軸として掲げるのが、「イノベーションラウンジ」「サテライト」「WELL認証」の3つの事業だ。取り組みの現在地と成果、目指す共創のあり方について、point0の菅波紀宏(以下、菅波)、豊澄幸太郎(以下、豊澄)、稲畑伸一郎(以下、稲畑)、長谷川修(以下、長谷川)がクロストークを行った。

Innovation Lounge|「terminal.0 HANEDA」から広がる共創支援


──2024年2月末に、イノベーションラウンジの第一号案件であるterminal.0 HANEDAが開設となりました。その経緯をあらためて教えてください。また、運営がスタートしてからの手ごたえをどう感じていますか。

菅波 terminal.0 HANEDA開設に向け、point0は2023年4月からコンサルタントとして共創支援を進めてきました。きっかけは、HANEDA INNOVATION CITYに参画する日本空港ビルデングの担当者がpoint 0 marunouchiの見学に来たことでした。業界の枠を超えて共創が生まれる様子に「羽田空港でも、こんな取り組みができないか」と言っていただけた。そこから、企業参画型コワーキングスペースの実現に向けた協業が始まりました。

豊澄 当時point0でやっていた実証実験が、アートとセンシング技術をテーマにしていたんです。パナソニックのカメラで撮影した表情から感情分析をするなど、感性をテクノロジーでどう評価できるのかを探っていました。 “こころを動かす”事業づくりという点で、共感いただけたのかなと思っています。

菅波 集客面においてコワーキングスペースの成功のセオリーは、ビジネスパーソンにとってのアクセスのよさです。その点で、天空橋駅直結は必ずしもいい立地とはいえません。ではどんな取り組みを行えば人が来てくれるのか、出てきた答えが、日本空港ビルデング自身が自社の研究施設をもつことでした。

terminal.0 HANEDAの最大の魅力は、参画企業にとって事業化の出口が明確なことです。未来の空港づくりについて出たアイデアを、羽田空港のなかで実装できますし、日本空港ビルデングが運営やコンサルティングを手がける地方空港や海外空港まで、事業化の種をまいていける可能性があります。そんな、terminal.0 HANEDAにしかない魅力にひかれ、集まった参画企業は32社。団体や大学の参画もどんどん増えています。

長谷川 point 0 marunouchiは、「共創すれば何かが生まれるかもしれない」という思いを出発点に、明確な事業化の構想はもたずに動き始めましたから、スタート地点が大きく違いますよね。

菅波 そうなんです。コンソーシアムとして最初から大きいので、5つのテーマ(保安検査改善・空間デザイン・未来空港・DX・先端技術)に沿ってユニット制を組み、実証実験を進めています。オープンから1年で、すでに動いている案件は17以上あります。例えば丹青社では、「無機質でストレスフルな空間である“保安検査場”にアートを取り入れよう」というプロジェクトを立ち上げ、アート作品の展示や、照明や香りを工夫する実証実験に高評価が集まっています。 

一方で、実証実験をやったことがない企業も多く参画しているので、「共創はどう生まれるか」を理解してもらうまでに苦労もありました。point0の社員が共創支援の責任者として、point 0 marunouchiでやってきた取り組みを説明するなど地道にコミュニケーションを重ねたほか、役員メンバーも日本空港ビルデングとの打ち合わせを2週間に1度の高頻度で実施。共創を生み出す会議体はどういうものか、どんなメッセージ発信が必要かなどを伝えていきました。

長谷川 共創を生み出すには、参画企業同士の壁をなくし、お互いにフラットに意見し合える関係性が欠かせません。そこで、最初の半年間はバーベキューなどイベントをとにかくたくさん企画しましたね。結果として人間関係はとても親密になり、17もの実証実験が動き出した要因になっていると思います。

菅波 とはいえ、実証実験はまだまだ始まったばかり。目下の目標は、早い段階で、実際に空港へのサービス導入につながるような事業化事例をつくっていくことです。最初の1例が生まれれば「こうやって事業が生まれるのか」と道筋が見えて、ほかのプロジェクトも事業化に向けて一気に加速していくのではないかと期待しています。

また、イノベーションラウンジ事業全体への影響として、terminal.0 HANEDAができてから、共創支援に関する問い合わせは増えています。特に手ごたえを感じているのは、各企業がもつ自社のイノベーション施設の運営相談です。多くの大手メーカーが、「部門や研究所間の垣根を越えた共創をつくっていこう」という意図でイノベーション施設をつくってきました。でも、オープンイノベーションの経験者が少なく、共創のやり方がわからないがゆえに、ただの“働きやすいコワーキングスペース”と化してしまっている。そんな背景もあり、point0がもつ経験やノウハウを教えてほしいというニーズの高まりから、コンサル案件の受注が具体的に進んでいます。自社で完結せずに外部ノウハウを取り入れていこうという流れは、これからも広がっていくのではないかと考えています。

terminal.0 HANEDA(ターミナル・ゼロ・ハネダ) 羽田空港の国内線旅客ターミナルを管理・運営する日本空港ビルデングが手がける企業参画型コワーキングスペース。

terminal.0 HANEDA(ターミナル・ゼロ・ハネダ) 羽田空港の国内線旅客ターミナルを管理・運営する日本空港ビルデングが手がける企業参画型コワーキングスペース。

Satellite|目指すは日本最大のネットワーク構築


──サテライト事業では、沖縄、広島での拠点拡大のほか、関西エリアでは西宮北口に新たな拠点を開設しました。この一年の事業の成果をどうとらえていますか。

豊澄 大手デベロッパーとの提携が進み、サテライト利用の会員基盤は着実に増えています。サテライトオフィスのマーケットは圧倒的に首都圏が大きく、point0が拠点を広げている関西エリアは、まだまだ発展途上。製造業が多く、出社するカルチャーがより濃厚なのかもしれません。だからこそ、これから伸びるポテンシャルを感じています。

稲畑 提携したいという企業のほとんどは東京に本社があり、関西に拠点をもっていません。だからこそ、提携にメリットを感じてくれているのでは。主要拠点は駅チカにあり、利便性の高さや内装の質なども、選ばれている理由だと思っています。

豊澄 コアユーザーである自社会員数も右肩上がりで増え続けています。サテライトオフィスは、3回利用してもらえるとその後の継続利用につながるというデータがあるので、最初の利用のハードルを下げるべく、デジタルマーケティング施策も強化しています。

稲畑 現在は、具体的に4社との提携が進んでいます。目指すは、日本最大のネットワークをつくること。point0は色がついていない、独立部隊であるところがよさのひとつなので、誰とでも組めることで2025年にはユーザー数100万人を超えるネットワークが生まれているでしょう。サテライト事業を行ってきたことで運営ノウハウの習得につながり、イノベーションラウンジへも活かしていける。事業出口の多さが、相互に影響を与えあっていると感じています。

point 0が中心になり企画立案し、コミッティ企業からは技術提供を、パートナー企業は施設展開を担うpoint 0 satellite。提携企業の拡大に伴い登録者数は40万人を超え、日本最大規模のコンソーシアムへと成長を続けている。

point 0が中心になり企画立案し、コミッティ企業からは技術提供を、パートナー企業は施設展開を担うpoint 0 satellite。提携企業の拡大に伴い登録者数は40万人を超え、日本最大規模のコンソーシアムへと成長を続けている。写真は阪急阪神ONS 西宮北口。

WELL-Certification|快適なオフィス環境づくりが企業価値に直結する


──point 0 marunouchiは2020年12月に日本のコワーキングオフィスとして初めてWELL認証のゴールドランクを取得し、WELL認証のコンサルティングサービスもスタートさせています。事業の現在地とこれからの展望をお聞かせください。

豊澄 そもそもWELL認証の取得には、認証制度を活用することで、ダイキン工業、オカムラ、パナソニックの3社がもつソリューション提供をもっと広げられるのではないか、という思いがありました。WELL認証コンサルティングサービスも、point0創業時から構想していましたが、当時はノウハウもリソースもなかった。図らずも、コロナ禍を経て、多くの企業がWELL認証取得に関心を示すようになり、我々としてもサービス提供へ具体的に動けるようになりました。

長谷川 WELL認証取得には、企業にとって大きく3つのメリットがあります。まずは人材確保と離職率の低下につながること。次に、人的資本経営に対する有価証券報告書への記載や、サステナビリティレポートの発信など企業のESGに対する取り組みとして、外部の投資機関にPRできるという点。3つ目はワークプレイスがより快適になるというシンプルな価値です。

コロナ禍が明けて、社員を会社に戻したいと思う経営者は多くいますが、社員からすれば、快適なオフィスでなければ戻りたくないでしょう。Well-Beingな環境をつくらない限り、社員が戻ってきてくれない。そんな新たな課題が生まれ、会社の人事部や経営企画部などがワークプレイス改善にコミットするようになってきました。Well-Beingの取り組みは測りにくいからこそ、WELL認証というグローバルに認められた制度を活用することで、わかりやすくアピールできるといえるでしょう。

豊澄 コンサルティングサービスでは、認証取得に向けた全プロセスを手がけています。現状のオフィスを調査し、申請に向けて必要な、オフィスの空気質や昼光シミュレーションなどのエビデンスを揃えて英語の文書を作成し、現地審査に立ち会います。point0のコミッティ企業は、それぞれがWell-Beingに資する自社の商品やサービスをもっています。それらを組み合わせたオリジナルなソリューションを提供できることも大きな強みでしょう。

菅波 いまはプライム上場企業をはじめとした大手企業がWELL認証を取り始めていますが、今後は中小企業の取得ニーズも高まっていくでしょう。point0という小さなベンチャー企業がWELL認証のプラチナ昇格を決めていることで、何を改善していけばいいのか具体的なアドバイスができるようになります。実際に、point0では人事制度や福利厚生制度などの見直しをしており、ソフト面での改善ノウハウも蓄積されています。コミッティの豊富な人的リソースが私たちの最大の強みだと考えています。

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はせがわ おさむ◎point0 取締役。オカムラで最先端のオフィスづくりに携わり、シンガポール駐在も経験。新しい働き方を実践するオフィスづくりに取り組み、現在は新規事業を推進する企画部門のクリエイティブディレクターとして企画開発を推進。2024年6月より現職。

いなはた しんいちろう◎point0取締役。TOAで新市場の開拓担当を経て、営業部長を歴任。2021年に新規事業創出を担うネクストビジネス推進室を立ち上げ、室長に就任。2023年4月に株式会社otonohaを社内起業。2021年6月より現職に就任。

とよずみ こうたろう◎point0 取締役副社長。パナソニックでビルシステムソリューション、大規模再開発やオリンピックプロジェクトの技術営業を担当。現在は非住宅分野における「アップデート事業」の社内外共創を推進。2019年7月より現職に就任。

すがなみ のりひろ◎point0 取締役副社長。2005年丹青社入社。営業、経営企画を経験し、マーケティング部長として、マーケティング活動全般および、オープンイノベーションによる商品開発等に従事。2021年6月より現職に就任。

Promoted by point0 | text by Rumi Tanaka | photographs by Shuji Goto | edited by Kana Homma