Venmoの決済総額のうち、どれだけがアンダーグラウンド経済によるものかを推定するのは非常に難しい。親会社のペイパルは、この金額を公開していないが、フォーブスはこのカテゴリが全体の1%未満だと推定している。昨年のVenmoの取引高が2760億ドル(約42兆4000億円)だったことから、このアプリの地下経済における規模は、年間10億~20億ドル(約1540億〜3080億円)と推定される。
また、2022年の調査では、3億8900万件のVenmoの取引メモ(このアプリは、送金の際に小切手のようにメモの記載を要求される)のうちの3~4%が薬物や賭博、性行為などの犯罪に絡むものだったとされた。こうした状況は、2013年にVenmoの親会社のBrainTreeを8億ドル(約1230億円)で買収したペイパルにとって未知のことではない。
同社は、Venmoが不正行為に利用されていることを認識しており、年次報告書に「当社のプラットフォームが、違法な活動や不適切な取引に利用され続ける可能性がある」と記載し、その用途にマネーロンダリングやテロ資金の供与、違法賭博、薬物販売、児童ポルノ、人身売買などのさまざまな犯罪を列挙していた。ペイパルは、こうした活動を防止・検出するための対策に投資しているが、それらが完全に効果を発揮するわけではないとも述べている。