権力の頂点にあるのは依然として、大半が男性だ。世界の4大経済大国のうち3カ国では、いまだ女性リーダーが誕生していない。米副大統領にカマラ・ハリスが就任したことは進歩の兆しだったといえるが、11月に行われた大統領選では、ハリスは完全な敗北を喫した。
また、シリコンバレーの5大企業にも、いまだ女性CEOは誕生していない。S&P500指数構成銘柄のうち、女性リーダーが率いる企業の割合は、わずか8%にとどまっている。
だが、こうした中でも、フォーブスが作成した最新版の「最も影響力ある女性」ランキングには、大きな変化がみられた。既存のヒエラルキーが依然として変化に抵抗する一方、変化する産業の重要な分岐点において、指示役を担う女性たちは、さらに増加している。人工知能(AI)インフラから市場システム、政治的な枠組みまで、女性たちが下す決断の影響力は、いくつもの分野、そして社会に広がっている。
「抵抗」の中でも変化は進行
政治的権力における力関係をみると、その世界的な影響力の頂点には、女性たちがいる。AI規制から気候政策までのあらゆる面において、およそ18兆ドル(約2760兆円)規模のユーロ圏の経済の運命を決するのは、欧州委員会の委員長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン(ランキング1位)と、欧州中央銀行(ECB)の総裁、クリスティーヌ・ラガルド(2位)だ。また、イタリアの首相、ジョルジャ・メローニ(3位)は、EU第3位の経済大国に大きな変化を起こし、メキシコ初の女性大統領、クラウディア・シェインバウム(4位)は、地域の変革が進む中で、世界第15位の経済国を率いている。
こうした変化が最も顕著に見られるのは、AIの未来が築かれている分野だ。半導体の設計・開発を手掛けるAdvanced Micro Devices(AMD)のCEO、リサ・スー(26位)は、業界内でもほとんど影響力を持たなかったAMDを、この分野ではなくてはならない存在に変えた。その就任以来、AMDの株価はおよそ50倍に高騰している。関連分野ではそのほか、オラクルのCEO、サフラ・キャッツ(17位)がクラウド分野で、最も大きな変革をもたらしている。
一方、すべての産業の形を変えるグローバルAIインフラの構築をリードする3社、エヌビディア、マイクロソフト、メタのCFOは、すべて女性だ。それぞれコレット・クレス(55位)、エイミー・フッド(23位)、スーザン・リー(41位)が務めている。
また、ルース・ポラット(12位)がアルファベットのプレジデント兼CIOに上り詰めたことは、いまやテクノロジー業界の最も影響力ある企業でCFOになることは、より広範に及ぶ影響力を持つようになるための重要な道筋になっていることを示している。