韓国の元政府高官によれば、尹氏は「認知的不協和」の傾向が強いという。認知的不協和とは、人間が自分と異なる認識を抱えたときの不快感を意味する。尹氏の場合、「日韓関係の改善は韓国の国益になる」「妻、金建希氏はまったく問題がない人物だ」といった考えを持っているが、野党陣営は尹氏の対日政策や金氏を巡る疑惑を常に批判してきた。認知的不協和の傾向が強い人は、過剰なストレスを受けるため、感情を爆発させたり、突発的な行動に出たりする傾向があるという。尹氏も今年4月、総選挙を前に、「金氏が国民に謝罪すべきだ」と迫った、与党「国民の力」の韓東勲代表に激高し、激しい口論になったという。
同時に、尹氏がこうしたストレスを解消する手段にしたのがスマホとユーチューブだった。別の関係者によれば、尹氏はスマホ愛好者で、ソウルの外交団がコミュニケーションアプリ「カカオトーク」であいさつすると、尹氏からすぐに「何の用事?」といった返事が返ってきたという。普通の人間なら全く問題ないが、準戦時国家を率いる最高指導者としてはあり得ない行動だろう。スマホは電源を切っていても、微弱な電波を出している。位置を特定される可能性があるし、場合によっては盗聴器に変身する。ロシアのプーチン大統領はスマホを自分から遠ざけているとされる。
尹氏はスマホで自分を支持してくれるニュースを読み込むため、スマホには常に似たようなニュースが流れるようになった。同時に、尹氏は極右系ユーチューブも愛好していたとされる。韓国はユーチューブ先進国で、主だった政治家や政府元高官らも我も我もとユーチューバーに変身する。尹氏が12日に主張した「選挙の不正疑惑」は、かつて朴槿恵元大統領が弾劾されたときに、職務を代行した黄教安元首相がユーチューブなどで唱えていた主張とほぼ同じだ。黄氏は「インターネットを中央選管のサーバーに接続させ、投票の分類器を不正操作している」などと主張していた。黄氏も尹氏と同じ、検察官出身だ。一方、韓東勲代表の側近で、国民の力の幹部の一人、申志鎬元議員は11日のラジオ番組で、金建希氏が尹氏を応援するユーチューバーに電話をかけ、韓代表を非難したと主張した。