一方、ロシア側のソースで報告されているように、ウクライナもロシアに対するドローンによる戦略爆撃を強化している。そして、これはまだ序章にすぎないかもしれない。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、国内で来年、縦深打撃兵器を3万点製造することを目指していると伝えられる。
ロシアの報告
炎上する製油所や航空基地の画像など、ロシアに対するウクライナのドローン攻撃の最も劇的な証拠は、ありがたいことにロシア側のソーシャルメディア・アカウントへの投稿から得られる。他方、その最も詳細な報告が得られるのはロシア国防省の公式テレグラム・チャンネルからだ。そこでは、ウクライナのドローンを撃墜したとする報告が、いつ、どこであったかという情報とともに投稿されている。言うまでもなく、この情報源を扱う際には注意を要する。ロシア国防省の報告は基本的にどれも、ある夜、またはある時間帯に「ウクライナの無人機がXX機撃墜された」と伝えるだけで、あとは地域ごとのその内訳が示されるくらいだ。そのXXは、あくまで撃墜した数で実際にはもっと飛来していたのか。あるいは、この数自体が水増しされていて、目撃されたり捕捉されたりしていたが撃墜されなかったものまで含めているのか。
それに対してウクライナ空軍はもっと詳細な情報を提供しており、その夜にロシアのドローンが何機飛来し、うち何機を撃墜し、何機を電子戦で墜落させ(編集注:この数は発表では「所在不明になった」とされるものだが、原因については電子戦が言及される日もあればされない日もある)、何機を衛星ナビのスプーフィング(なりすまし)によってロシアやベラルーシに迷走させたのかをほぼ毎日報告している。
ロシア国防省にとって「正直に」報告しようとする動機づけがあるとすれば、それは国民を安心させることだけだろう。地元住民が爆発を目撃したり撮影したりしていた場合、ロシア国防省は、攻撃してきたものはすべて撃墜されたと主張するかもしれない。また、ウクライナの能力を低く思わせるために攻撃規模を控えめに表現したり、逆にロシアの防空能力を実態よりも頼もしく見せるために、攻撃規模を誇張したりもするかもしれない。あるいは遠隔地の航空基地に対する攻撃など、攻撃が目撃されていない場合は、攻撃があったこと自体を認める必要がない。
それでも、ロシア国防省が報告しているドローン撃墜数は、攻撃規模の増減をある程度は示していると考えられる。その数は一晩でわずか1、2機のこともあれば、11月20日のように141機にのぼることもある。