報道各社によるとティマーマンは12日、首都ダマスカス南郊を裸足でさまよっているところを発見された。投獄されていた刑務所がどこかは不明。
本人の母親が米公共放送NPRに語ったところによれば、ティマーマンは2017年にミズーリ州立大学を卒業。法律の学位を取得してシカゴで短期間働いた後、ミズーリ州アーバナの自宅に戻り、自然やキリスト教信仰について執筆活動をしていたという。
この母親の話では、ティマーマンは執筆活動と人助けのためにハンガリーの首都ブダペストを訪れていた。また、ティマーマンの姉はNBCニュースに対し、目的地にはチェコのプラハも含まれていたと語った。ティマーマンは母親にレバノンへ向かうと伝えてきたが、その後、連絡が途絶えたという。
米ミズーリ州高速警察とハンガリー警察は、それぞれ6月と8月にティマーマンの捜索願を受理しており、5月28日にブダペストで最後に目撃されたことが分かっていた。
本人の説明によるとティマーマンは、ダマスカスへ巡礼に赴く途中、レバノン国境近くの山岳地帯で「3日間、飲まず食わずで」いたところをシリア当局に発見され、身柄を拘束されたという。NBCニュースは、ティマーマンがどのくらいの期間投獄されていたのかは今のところ不明だと報じている。
先週末にアサド政権を倒した反体制派の主要組織「シャーム解放機構(HTS)」は12日、ティマーマンを解放したのは反体制派のグループだと発表。米国と「直接協力して」シリアで行方不明となっている他の米国人の解放に努めると表明した。米紙ニューヨーク・タイムズによれば、米国はHTSをイスラム過激派のテロ組織に指定している。
米政府高官はCBSニュースに対し、ダマスカス郊外で解放された米国人について政府は把握しており、支援を検討していると述べた。アントニー・ブリンケン国務長官がティマーマンの「帰国に向けて動いている」と報じられている。
ただ、NBCニュースによれば、ティマーマンはダマスカスに戻る前にヨルダンを訪れるつもりだと話している。
الأميركي الذي عثر عليه "ترافيس تيمرمان" للعربية: أتيت إلى سوريا في رحلة دينية منذ عدة أشهر#قناة_العربية#سوريا pic.twitter.com/kn7cKX6kEd
— العربية (@AlArabiya) December 12, 2024
アサド政権崩壊後、シリアの刑務所・収容所からは収監されていた大勢の人々が解放された。アサド一族は50年以上にわたってシリアを独裁支配してきた。24年間に及んだバッシャール・アサド大統領の圧政下でシリアは2011年に内戦に突入したが、2016年にロシアの支援を受けた政権軍による残忍な反攻が始まると、反体制派は北西部のごく一部地域に追い詰められ、東部を米国が支援するクルド人勢力が支配下に置く構図が続いていた。
アサドと同盟関係にあったイランとロシアがそれぞれ紛争に関与してシリアへの影響力が弱まったことで、反体制派が大攻勢に転じ、ダマスカス陥落につながった。アサドとその家族はロシアに亡命し、現在モスクワに滞在している。
(forbes.com 原文)