ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とCNNは、匿名の情報筋の話として、このベゾスの計画を報じた。トランプは、主要なテクノロジー企業に批判的で、長年ベゾスと対立してきたが、アマゾンは、トランプが来月の大統領への復帰に向けて準備を進める中でこの寄付を行なう計画という。
WSJによればアマゾンは2017年のトランプの1期目の大統領の就任式にも5万8000ドルの現金と物品の寄付を行っていたという。一方、2020年に社名をメタに変更したフェイスブックは、2021年のバイデン大統領の就任式や2017年のトランプの就任式に寄付を行っていなかった。
ベゾスは来週、フロリダ州パームビーチのトランプのプライベートクラブ「マー・ア・ラゴ」でトランプと夕食をともにする予定だ。
ベゾスとトランプは長い間、対立関係にあった。トランプはベゾスが所有するワシントン・ポストを繰り返し批判し、彼の1期目の政権についての報道に不満を述べてきた。また、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)は、同社が国防総省と結ぼうとした100億ドル(約1兆5300億円)規模のクラウド事業契約をマイクロソフトに奪われたことが、トランプが介入したためだと主張していた。さらに、トランプは、ワシントン・ポストを「アマゾンの利益を代弁するロビイスト」として登録すべきだと発言したこともある。
トランプは、アマゾンが税金を払わず、小売業者を廃業に追い込んでいると非難し、アマゾンが配送に利用している米国郵政公社(USPS)にもっと高い料金を支払うべきだと主張してきた。
しかし、トランプが大統領への復帰に向けて動き始めて以来、ベゾスは関係修復を図っているようだ。今年の7月にトランプが暗殺未遂事件に遭った際に、ベゾスはX(旧ツイッター)に約1年ぶりに投稿し、トランプが「すばらしい優雅さと勇気」を見せつけたと称賛した。
ベゾスはまた、ワシントン・ポストが掲載しようとしたカマラ・ハリスを支持する社説を差し止めたと報じられており、大統領選の後にトランプの「並外れた政治的復活と決定的な勝利」を祝福していた。
企業が大統領の就任式の祝賀行事に寄付を行なうことは異例なことではない。ただし、オバマ前大統領は2009年の就任式で企業からの寄付を拒否し、バイデン大統領も2021年の就任式でテック企業からの寄付を受け入れなかった。
ベゾスは、イーロン・マスクに次ぐ世界で2番目に裕福な人物で、推定保有資産は2425億ドル(約37兆1000億円)とされている。メタのCEOマーク・ザッカーバーグの推定資産は2179億ドル(約33兆3200億円)で、世界の富豪ランキングで4位に位置している。また、トランプもビリオネアであり、トゥルース・ソーシャルの親会社であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループや不動産投資、その他の資産を通じて、直近で推定62億ドル(約9500億円)の資産を保有している。
(forbes.com 原文)