アドビの株価は米東部時間12日午前に480ドルを下回り、11月5日以降の最低水準となった。同社の株価の過去24時間の下落率は、3月15日に記録した下落率の13.6%を上回った。
アドビが11日に発表した第4四半期の売上高は、アナリスト予想の55億4000万ドル(約8468億円)を上回る56億1000万ドル(約8560億円)で、「史上最高の四半期売上高を記録した」と同社のシャントヌ・ナラヤンCEOは語った。また、調整後の1株当たり利益も4.81ドルで、アナリスト予想の4.67ドルを上回った。
ナラヤンCEOは、同社のこの業績が、成長する人工知能(AI)市場からの追い風を受けたクラウドサービスに対する強い需要に牽引されたと説明した。
しかし、第4四半期の売上高と利益が予想を上回った一方で、アドビは来期の2025年度の収益が233億ドル(約3兆5600億円)から235億ドル(約3兆5800億円)、現四半期の収益が56億3000万ドル(約8605億円)から56億8000万ドル(約8682億円)にとどまると予測した。この予測は、いずれもアナリスト予測である238億ドル(約3兆6400億円)と57億2000万ドル(約8743億円)を下回った。投資家の間では、OpenAIのような新興勢力がアドビから市場シェアを奪うのではないかとの懸念が根強いとブルームバーグは報じた。
アドビの株価は、年初来で約18%下落しており、同期間に42%以上も上昇したハイテク中心のナスダックを大きく下回るパフォーマンスとなっている。
アドビの時価総額は、11日時点では2420億ドル(約36兆9900億円)だったが、株価の下落によって約330億ドル(約5兆400億円)を喪失し、2089億ドル(約31兆9000億円)に落ち込んだ。
アドビは、2024年の4つの四半期すべてで市場予測を上回る業績を上げたが、同社の株価は収益成長の鈍化を見込む予測を受けて下落している。アドビがウォール街の予測を下回るガイダンスを示した理由は明らかになっていない。
アドビのデジタルメディア部門のプレジデントを務めるデイビッド・ワドワーニは、投資家に対し同社が現在の会計年度の見積もりに「総体的な」アプローチを取っており、今後は新製品の導入もあって、2024年と比較して顧客の成長が、「少し異なるものになるだろう」と語った。
アドビは、4月にテキストから動画を生成する独自の生成AIツールであるFireflyのリリースを発表したが、このツールについて投資会社ウィリアム・ブレアのアナリストは9月に、アドビの長期的な業績にポジティブな影響を与えると評価していた。Fireflyは、ChatGPTのSoraなどの類似のツールと競合することになる。
(forbes.com 原文)