この日クックは、ロンドン本社(バタシー地区)近くにある青年支援センター「カイアスハウス」で若者たちと対話を行い、自身の歩みやアップルの最新機能について率直に語った。
筆者はこれまでも、クックが人々と直接交渉する場面を目にしてきた。彼は聴衆の「わあ、本人だ!」という高揚感を、自然で誠実な態度で人々をくつろがせるエネルギーへと変え、相手をより深く知ろうとする稀有な才能を持っている。
筆者がクックに、こうしたイベントに参加する意義を問うと、彼は 「何かを社会にお返しできるということには大きな意味がありますし、将来企業や組織、政府を率いることになる若者たちと直接つながり、彼らが何を考え、どんな夢や希望を持っているのかを知ることができるのはとても有意義です。若い世代とのつながりを保つことは、個人的な面でもビジネスの面でも非常に重要なのです」と答えた。
参加した若者から、自身のキャリアの始まりについて問われると、クックはコンピュータへの興味について語った。彼がコンピューティングに本格的な関心を抱いたのは高校ではなく大学に入ってからで、人々を助け、つなぐ大きな可能性があると気づいたときにその情熱が芽生えたという。 「自分が最も好奇心をかきたてられるものを見つけてください。すぐに『これだ!』という瞬間が来なくても、心配しなくて大丈夫です」と、主にティーンエイジャーから成る聴衆に優しく語りかけた。
ビジネスで成功する秘訣は何かと問われると、クックから多くのアドバイスがあった。過去の業績に安住せず、常に前を見続けること、有能なチームに囲まれることなどを挙げた。