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2024.12.13 09:00

なぜティム・クックは当時「潰れそうなアップル」に入社したのか?

アップルのティム・クックCEO(DFree / Shutterstock.com)

クックがアプリ開発者たちと交流する様子を見て、筆者は「アップストアがアップルによる『民主化』の取り組みの一環なのではないか」と考え、彼に問いかけた。それに対してクックは「私が入社する前から、アップルは常に民主化を目指してきました。すべての教室にパーソナルコンピュータを置くことを目標としたのです。2024年の今では大したことないように聞こえるかもしれませんが、当時としては極めて野心的な目標でした」と答えた。

「そして誰もがパーソナルコンピュータを持ち、さらにすべての人がポケットにスマートフォンを持つようになったことで、誰もが写真家になり、映画を撮り、編集することが可能になりました。かつて何十万ポンド(何千万円)ものコストを要したものが、突然ポケットの中に収まるようになったのです。その最新の例がヒアリングテスト(注:AirPods Pro 2とiOS 18で利用可能な聴力検査機能)でしょう。世界には15億人もの聴覚に課題を抱える人がいますが、ほとんどの人が検査を受けていません。私たちはこの検査を誰もが受けられるものに民主化していくのです。これこそ常に私たちが目指していることなのです」

この機能はiOS 18.2とともにAirPods Pro 2で利用可能になった。そこで筆者は改めて、Apple Intelligenceがクック自身とアップルにとってどのような意味を持つのかを尋ねた。

クックは力強く、「それは、iPhoneにとってまったく新しい時代の到来を意味すると考えています。Apple Intelligenceは単なる新機能ではなく、あらゆる領域に横断的に影響を及ぼします。ノート、メール、メッセージなど、日々使い慣れたアプリすべてに組み込まれているので、『Apple Intelligenceを使うために特別なことをする』必要はありません。みなさんが普段いる場所に自然に溶け込んでいるのです。これによって今後のイノベーションはまったく新たな軌道を描くことになります。私はこれが基本的かつ極めて大きな変化だと思っています」と語った。
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forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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