映画館の大きなスクリーンに映るその姿は、カミソリのように鋭い歯、たくましい脚、骨も凍るような咆哮を備えた恐ろしい肉食獣だった──まさに、悪夢のような存在であると同時に、尽きない魅力を感じる対象でもある。
しかし、この先史時代に生息した巨大恐竜の現存する子孫を見たいのなら、それほど遠くまで探す必要はない。最寄りの農園に向かい、ニワトリ小屋に目を向けるだけで済むはずだ。そう、ごく普通のニワトリ(学名:Gallus domesticus)、さらに言えば、すべての現生鳥類は、今生きているなかでティラノサウルスに最も近い生物だ。
このようなつながりは、いささか荒唐無稽に思えるかもしれない。穀物やミミズをついばむ鳥が、白亜紀に地球を支配した巨大な恐竜と遺伝的につながっているなどということがあり得るだろうか? だがこれは、最初の印象ほど無理な話ではない。
ティラノサウルスとニワトリはどちらも、「獣脚類」に属している。これは恐竜の一群だが、鳥類も獣脚類の系統群とされている。内部に空洞のある骨と、3本指の前脚を特徴とする分岐群(クレード、共通の祖先から進化した生物群)だ。
古生物学と分子生物学の進歩により、研究者たちは、恐竜と鳥のつながりを裏づける、非常に興味深いエビデンスを発見している。これにより、近所で飼われているニワトリが、「恐竜の王様」であるティラノサウルスと、驚くほどの共通点を持っていることが明らかになっている。