ロシアの国営通信社であるRIAノーボスチは12月9日、ロシア下院のアントン・トカチェフ議員が戦略的ビットコイン備蓄の創設を提案したと報じた。
同議員は、アントン・シルアノフ財務相に提案書を送り、ビットコインの戦略的備蓄創設の実現可能性を評価するよう求めたという。彼は、この提案書の中で、制裁下にある国々が既存の国際決済システムにアクセスできない状況下において、暗号資産が「事実上唯一の国際貿易のためのツールになっている」と述べている。さらに、ロシアの中央銀行がすでに、暗号資産を用いたクロスボーダー決済の準備を行っているとも述べている。
一方、プーチン大統領も今月初めの投資家イベントで、ウクライナへの侵攻後に西側諸国の政府によってロシアの資金が凍結されたことに触れつつ、ビットコインが国際貿易のための代替通貨になり得ると述べていた。「ビットコインは、誰にも禁止できない。将来的にドルに何かが起こっても、これらのツールは発展していくだろう」と同大統領は述べていた。
ロシアは、2022年に国際銀行間通信協会(SWIFT)システムから排除され、米ドルを基盤とする西側の金融システムからすでに切り離されている。そのためロシアは、ビットコインなどの暗号資産を国際決済に用いるためのテストを開始しようとしているとブルームバーグは8月に報じていた。また、プーチン大統領は国内でのビットコインと暗号資産のマイニングを合法化する新法にも署名した。
一方、アルゼンチンもビットコインの採用を検討中だと報じられている。スイスを拠点とする資産運用会社の21Sharesは、今月のレポートで「国家がますますビットコインの標準化を受け入れ始めている中、2025年にはアルゼンチンのような国々がビットコインを戦略的備蓄資産として採用することが予測される」と述べている。
「アルゼンチンは2025年までに債務ゼロの予算を目指している。そのため、既に進行中の暗号資産を重視する政策や、同国のハビエル・ミレイ大統領とエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領とのコラボレーションが、ビットコインの導入のさらなる拡大につながる可能性がある」と、同レポートは指摘した。
エルサルバドルは、既に約6億ドル(約910億円)相当のビットコインを保有しており、火山エネルギーを利用した国営のビットコインの採掘施設を設立する計画だと報じられている。
(forbes.com 原文)