これらの撃沈などによって、黒海艦隊の戦力は2022年2月の全面戦争開始前の3分の2足らずに縮小した。
残存している艦艇を守るべく、ロシア海軍はクリミアやロシア南部の海軍基地周辺の防御を強化した。これらの基地への進入ルートは現在、武装したMi-8ヘリコプターやラプター級哨戒艇などによってパトロールされている。
そこで、シーベビーを運用するウクライナ保安庁(SBU)やマグラV5を運用するウクライナ国防省情報総局(HUR)は、これらの無人艇が銃やミサイルで武装したミルやラプターに応戦できるように改良し始めた。
離れた距離からのスタンドオフ攻撃用のロケット弾や小型無人機を発射できるものもあれば、自衛のために遠隔操作の機関銃や地対空ミサイルを搭載して出撃するものもある。
5日から6日にかけての夜、機関銃で武装したシーベビーの群れがクリミア東部とロシア本土の間にあるケルチ湾に侵入し、ロシア側の防衛部隊と激しい近接戦闘を繰り広げた。交戦の映像には、シーベビーたちがロシア軍のヘリコプターや哨戒艇に発砲する様子が映っている。
On the night of December 5-6, a group of SBU sea drones “Sea Baby” entered into battle with Russian helicopters, aircraft and patrol boats “Raptor”, which tried to intercept them.
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) December 9, 2024
The latest “Sea Baby” were equipped with large-caliber machine guns with ballistic programs for… pic.twitter.com/8GVI7xHYGO
シーベビーたちが戦闘を生き延びたのかどうかは不明だが、SBUによると一部はロシア側の防御をかいくぐり、たびたび攻撃を受けているクリミア橋(ケルチ橋)の補修を支援しているはしけにも打撃を与えたという。
映像を見る限り、荒い波に揺られるシーベビーからの射撃の精度はあまり高くないようだ。これらの無人艇にはすでに弾道射撃統制システムや自動照準アルゴリズムが搭載されているが、改良が必要かもしれない。
それでも、目標に近づくシーベビーが迎撃側に対して有効な戦いができるようになったという点は重要だ。最近まで、シーベビーやマグラV5はほぼ無防備だった。そのため夜の闇に紛れたり、目立ちにくい姿を頼りにしたりして探知を避け、探知されれば破壊を免れるため急いで回避行動をとっていた。
ウクライナの無人艇群が戦闘を行いながら目標に向かえるようになったというのは、黒海艦隊の残存艦艇にとって不吉な動きだ。
(forbes.com 原文)