トランプは10日のトゥルースソーシャルへの投稿で、「アメリカ合衆国に10億ドル以上を投資する全ての個人または企業は、環境関連の承認を含むあらゆる許認可を完全に迅速化されたプロセスで進めることを約束される。さあ、準備を整えよう!」と宣言した。
連邦政府は、国家環境政策法(NEPA)の下で、エネルギー関連の開発計画やインフラの建設などのプロジェクトを承認する前に環境レビューを実施することを義務づけられている。トランプがこの規制を回避する方法は明らかではないが、彼は、この規制プロセスによってしばしば停滞もしくは中止されている国内の石油と天然ガスの開発プロジェクトを増加させることを誓っている。
大気汚染の防止や公共および民間のプロジェクトが環境に与える影響の監視などを行なう米環境保護庁(EPA)は、トランプとその支持者たちから敵視されてきた。
トランプがエネルギー長官に選んだ、油田サービス会社リバティー・エナジーのCEOであるクリス・ライトは、化石燃料が世界の貧困を終わらせる鍵を握っていると論じ、気候変動が「遠い将来の」脅威だと主張している。彼は、石油や天然ガスの増産を後押しし、地熱や原子力などのプロジェクトを支援する「オール・オブ・ザ・アボーブ・エナジー(あらゆるエネルギー源)」政策を支持すると予想されている。
トランプは、1期目の政権で、水資源管理規制のクリーンウォーター規則を撤廃したほか、クリーンエネルギーや野生生物保護などに関する100以上の規則を廃止し、米国をパリ協定から脱退させた。
彼は2期目の政権で、国立公園や野生動物保護地域のようなエリアでの石油やガスの採掘の後押しを続ける予定で、バイデン政権が成立させた気候変動対策に軸足を置いたインフレ抑制法(IRA)の廃止を呼びかけている。
トランプは、今年の選挙キャンペーン中に、米国の石油とガス産業への支持を示すため「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」という言葉を繰り返し使用していた。
一方、米国の多くの議員や科学者、政府関係者、環境団体がトランプの環境政策を批判している。元海洋大気庁(NOAA)のアンドリュー・ローゼンバーグは、トランプの環境計画を「恐ろしい」とガーディアンのインタビューで語り、彼が「人々の健康と安全を守るための数十年にわたる進展を巻き戻すだろう」と語った。
環境保護団体のシエラクラブの責任者であるベン・ジェラスはフォーブスに対し、トランプの1期目で300件の訴訟を提起した同団体が「積極的な準備を進めており、米国を守る準備をしている」と述べている。
(forbes.com 原文)