フォーブスが11月にバンコクで開催した『グローバルCEOカンファレンス』に登壇した38歳のペートンタン首相は、「多くの良い取引が進行中だ。詳細は明かせないが、グーグルやマイクロソフトなどの大手は、タイでの追加の投資を希望している」と語った。
8月に就任したばかりの同首相は、さらなる投資を呼び込むために、ビジネス・フレンドリーな政策を推進すると約束した。「この国の政治は安定している。投資には今が最適なタイミングだ」と彼女は述べた。
東南アジアで事業拡大を目指す世界のハイテク大手は、タイへの投資を強化している。9月には、アルファベット傘下のグーグルが新たなクラウド・コンピューティング・インフラの構築に10億ドル(約1500億円)を投じる計画を発表した。また、マイクロソフトも5月にタイに人工知能(AI)やクラウドサービスなどで利用するデータセンターを設けると発表し、アマゾン・ウェブ・サービスも、2037年までにタイのデータセンターに50億ドル(約7500億円)を投資すると発表している。
タクシン・シナワット元首相の末娘であるペートンタン首相は、世界のハイテク大手による投資によって多くの雇用が創出され、タイ国民の所得の向上につながると語った。彼女はまた、織物など、タイの地場産業の発展にも力を入れ、同国の文化や職人技を世界にアピールしていく考えも示した。
「タイの職人の技術力は、世界でまだ十分に認知されていない。タイ産の生地は世界でも最高レベルの品質を誇るが、これらの製品を作る労働者の賃金は非常に低い」と彼女は指摘した。
ペートンタン首相は、就任後の3カ月間で各国のリーダーたちに会うために世界中を飛び回った。彼女は、ペルーで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議にも出席したが、その途上のロサンゼルスでは、ハリウッドの映画プロデューサーたちと会談し、タイでより多くの映画を製作するためのインセンティブをオファーした。
昨年、タイでは約450本の海外映画が撮影されたが、そのうちの約40本が米国のスタジオによるものだった。
(forbes.com 原文)