トランプは、就任初日に出生地主義を廃止する計画は今もあるかと問われ「ああ、もちろん」と答えた。合衆国憲法で規定されている点を指摘されると「それを変えなければならないだろう。おそらく国民投票に訴える必要があるだろう。それでも、われわれはそれを終わらせなければならない」と主張。「可能であれば、大統領令によって廃止する」とも述べた。
合衆国憲法修正第14条には「合衆国内で生まれ、または合衆国に帰化し、かつ合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、その居住する州の市民である」と規定されている。この条項は、外国外交官の子どものように米国法の適用を受けない極めて限定的な例外を除き、米国内で生まれた子どもは自動的に米国籍を取得すると解釈されている。
トランプは、大統領令によって一方的に修正第14条の規定を無効化することはできない。憲法改正には、連邦議会の両院で改正案が3分の2以上の賛成多数で可決され、さらに4分の3以上の州の承認を得る必要がある。
おそらくトランプは、ごく一部の法律専門家が主張する法理論を採用して出生地主義の制限を試みるだろう。それは、米国の「管轄権に服する」人々、すなわち米国の司法権の下にある人々に出生地主義を認める修正第14条は、米国に不法滞在している移民の子どもたちには適用されないという理論だ。
しかし、この理論を用いて出生地主義を制限すれば、ただちに法的な問題が発生する。しかも、ほとんどの法律専門家はこの法解釈を認めていない。米陸軍士官学校の元法律教授で弁護士のマーガレット・ストックは2018年、米公共放送NPRに対し、この解釈を「狂信者の主張」と一蹴。マサチューセッツ大学アマースト校のレベッカ・ハムリン教授は、このような解釈を信じる弁護士は「ユニコーンのような(希少な)存在」だと語った。
この問題は連邦最高裁判所に持ち込まれる可能性が高いが、保守派が多数派を占める最高裁ですら、トランプの意向に沿った判決を下すことには消極的とみられる。出生地主義の廃止を支持しているマーク・クリコリアン移民問題研究センター所長も、「最高裁が反対の判断を示す可能性は十分にある」とNBCニュースに認めている。