ここでは、本年度のリストの交通とモビリティ部門の受賞者を紹介する。
2019年に電気自動車(EV)向けの充電インフラを、不動産業者向けに販売し始めたXeal(ジール)は、その直後に課題に直面した。インターネットの接続が不安定な場所では、決済処理がストップし、ドライバーたちからの苦情が押し寄せたのだ。
そこで同社の共同創業者のアレクサンダー・アイザクソン(28)とニキル・バラドワジ(28)は、ブロックチェーンを基盤としたApolloというプラットフォームを開発し、各ユーザーのスマートフォンを「モバイルデータセンター」として利用するシステムを構築した。Xealはこのシステムを用いて、Wi-Fi接続が不十分な建物や大学のキャンパスにも充電ステーションを設置している。
それ以来、投資家から5400万ドル(約84億6000万円)を調達した同社は、米国の60以上の都市で数千台の充電器を設置している。「私たちの目標は、自立型のスマートシティを加速させることです」とXealのアイザクソンは述べている。
今年の交通とモビリティ部門の受賞者には、他にも、交通インフラの改善を手がける起業家や、クリーンな交通への移行を加速させる企業の経営者、航空宇宙分野の創業者たちが選出された。
オハイオ大学出身のエンジニアのアーチー・スコット3世(29)は、高速道路の作業員を保護するための軽量で使いやすい工事用バリアのアイデアを考案し、2021年にAsynt Solutionsを設立した。同社の主力製品「Ape Barrier」は、従来の重いコンクリートではなくガラス繊維を用いることで80%軽量化されており、輸送が容易だ。このバリアは、すでにクラッシュテストに成功し、オンタリオ州やマサチューセッツ州、ペンシルベニア州で承認されている。