ウクライナに見出す機会
ウクライナの戦場に、ドローンを配備した外国の防衛スタートアップは、多くの課題に直面しているが、現地のウクライナ軍は市販部品を使ってドローンを量産して成功を収めている。ウクライナ軍のドローン部隊は、最前線の近くで改良を重ね、妨害電波を駆使するロシア軍との戦いで優位に立っている。一方、米国製のドローンは多くが墜落したり、故障するなどの問題を抱えているが、それでもシールドAIやAeroVironmen(エアロバイロメント)などの米国企業は、ウクライナ国防省へのドローン供給契約を獲得しており、ドイツのQuantum Systems(クアンタムシステムズ)もキーウで独自の無人機を製造している。
そんな中、ヘルシングは、ウクライナで競合よりも少なくとも先行している。同社は昨年、エストニアにオフィスを開設したとWiredが報じていた。また、同社のドローンが間もなく実戦でテストされる可能性もある。ドイツの国防大臣は11月に、ヘルシングのAIソフトウェアを搭載した4000機のドローンを12月からウクライナに寄贈すると発表した。
このドローンは、ヘルシングの新型モデルのHX-2ではなく、Terminal Autonomy(ターミナル・オートノミー)と呼ばれるウクライナのスタートアップが製造する木製の安価なモデルのHF-1になると情報筋はフォーブスに語っている。ヘルシングによれば、このドローンはすでにウクライナ政府によって認証されており、人工衛星の助けを借りずにAIとコンピュータビジョンを用いて戦場を飛行するという。
ヘルシングは、今年の欧州で最大規模の調達ラウンドから得た最近の資金を、研究開発や「NATOの東側の防衛強化」に充てると述べているが、同社はこれまでAIを搭載したソフトウェアの詳細をほとんど明かしておらず、「司令官に戦場の全体像を提供するツールだ」とほのめかす程度にとどめている。
しかし、ライルと投資家たちは今、ソフトウェアよりもハードウェアの方が攻略しやすいと考えているようだ。「私たちはいつも、少なくとも10倍の飛躍を目指さなければならないと社内で話している」と、ライルは2023年9月のイベントで語っていた。
(forbes.com 原文)