xAIが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、同社は最近約60億ドルを合計97人の投資家から調達した。具体的な投資家名は明かされていないが、xAIは、5月に発表したシリーズBラウンドで、アンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタル、フィデリティ、サウジのコングロマリットのキングダム・ホールディングなどから60億ドルを調達していた。
今回の調達は、11月に完了した50億ドル(約7500億円)以上の調達に続くものだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、このラウンドにおける同社の評価額は、シリーズBの評価額の240億ドル(約3600億円)の2倍以上の500億ドル(約7兆5000億円)に達していた。
xAIは新たに調達した資金の一部を、AIモデルのトレーニング向けの10万個のエヌビディア製チップの購入に用いてオペレーションを強化し、OpenAIやグーグル、メタ、アンソロピックなどの競合他社に対抗する計画だとWSJは報じていた。
xAIは、自社のスーパーコンピュータ施設を活用して急成長を遂げており、11月に年率換算で1億ドル(約150億円)の収益に達したと投資家に伝えていた。一方、OpenAIは今年の年間売上高を37億ドル(約5600億円)と見込んでおり、両社の間には大きな差がある。
xAIの500億ドルの評価額は、アンソロピックが次回のラウンドで視野に入れていると報じられた400億ドル(約6兆円)の評価額に匹敵するが、OpenAIの評価額は1570億ドル(約23兆5000億円)と、競合をはるかに凌駕している。さらに、OpenAI のChatGPTの1週間あたりのユーザー数は、3億人に達したと同社のサム・アルトマンCEOは先日発表している。
マスクは、xAIのAIのトレーニングのためのリソースを倍増させる計画を表明しており、テネシー州メンフィスのスーパーコンピュータ施設に、少なくとも100万台のGPUを追加しようとしている。このスパコン施設は、同社のチャットボット「Grok(グロック)」の開発に重要な役割を果たす見込みだ。
Grokは、X(旧ツイッター)のユーザー向けにすでに提供されており、WSJはこのチャットボットが独自のアプリとして間もなく提供されると報じている。
マスクは、以前にOpenAIの共同設立者および取締役を務めていたが、意見の相違から同社を離れ、2023年にxAIを設立した。同社は、Xやテスラからのデータを活用してAIモデルをトレーニングし、メンフィスにある「Colossus(コロッサス)」と呼ばれるスパコン施設の強力なトレーニング能力を武器に急成長している。
OpenAIのアルトマンCEOは、先週開催されたニューヨークタイムズのDealBookサミットで、xAIが「非常に手強い競争相手になるだろう」と述べて、同社のスパコン施設の構築の速さを称賛した。
(forbes.com 原文)