ニューヨーク・タイムズがシリアの独立系人権組織「シリア人権ネットワーク(SNHR)」を引用して伝えたところによると、シリア各地では、爆撃が日常と化し、多くのインフラが破壊され、10万人以上が命を落とした10年余の圧政の終わりを祝い、市民が街頭に集まって喜ぶという長年見られなかった光景が随所で展開されている。
ただし、アサドの失脚は、シリアに不確実性と脆弱性の時代をもたらすことになる。権力の空白に乗じて、IS(イスラム国)の過激派が勢力を拡大するおそれもある。反体制派の主力であるHTSも、逆風に直面する可能性がある。HTSはアルカイダの分派にルーツを持つ過激派で、米国では今もテロ組織に指定されている。現在の指導者は穏健派を標榜し、国内の宗教的少数派を尊重すると約束しているが、観測筋の多くは警戒を緩めていない。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8日、シリア反体制派の成功はイスラエルの対ヒズボラ軍事作戦のおかげだと主張し、「中東における歴史的な日」だと述べた。米CNNによればネタニヤフは、イスラエルが占領しているゴラン高原とシリアとの緩衝地帯を掌握して「あらゆる敵対勢力」を阻止するよう軍に命じたという。
一方、ロイターはイランの英語放送局プレスTVを引用し、シリアの反体制派がイラン大使館を襲撃したと報じた。また、レバノンの治安筋2人がロイターに語ったところによると、ヒズボラはシリアから撤退した。
(forbes.com 原文)