ウクライナが8月に侵攻したクルスク州では、2万人規模のウクライナ軍部隊が縦32km、横20kmほどの広さの突出部を保持し、攻撃してくるロシア軍と戦っている。その支援に当たっているウクライナ海兵隊のドローン(無人機)操縦士、Kriegsforcher(クリークスフォルシャー)は、担当する突出部北西縁の縦横3.2kmほどの区域だけで、大破して遺棄されたロシア軍車両をおよそ90両数え上げている。
Russian AFV losses during Kursk operation. Left flank. Part I❗️
Today I will show only part of them.
My company operates in Kursk area at this flank and we ask U for help (4 power stations):
BMAC: https://t.co/qvbQutwc1r
PP: osint4ua@gmail.com
🧵👇 pic.twitter.com/MQDoD6VuUZ — Kriegsforscher (@OSINTua) December 7, 2024
もっとも、ロシア軍とウクライナ軍の損害比率が4対1というのは珍しいことではない。ロシアによる全面戦争の開始から2年9カ月半の間に撃破された装備はロシア側が約1万4500点、ウクライナ側が約5200点と3対1ほどなので、それをやや上回るという程度にすぎない。
注目すべきはむしろ、ロシア軍がこれらの車両を失った時期と場所であり、それはロシアのウラジーミル・プーチン政権にとって不吉なものだ。これらの損害は、ロシア軍が11月初めからわずか1カ月の間に、クルスク州のウクライナ側突出部に対する2波にわたる攻撃で出したものだ。
ウクライナ軍による2023年夏の反転攻勢が頓挫し、その後ロシアが新たな攻勢に乗り出して1年あまりたつ現在、戦いの中心地はクルスク州になっていると言ってよいだろう。誤解のないように補足しておくと、ウクライナ東部のチャシウヤール、トレツク、ボウチャンシク、クラホベ、ブフレダルといった都市やその周辺でも激しい戦闘が続いている。
プーチンはロシア軍にクルスク州のウクライナ側突出部を来年2月までに排除するように命じたようだが、それにはもっともな理由がある。来年1月20日のドナルド・トランプ次期米大統領の就任を機に、米国とウクライナの関係は不安定な新時代に入るとロシアの政権は見込んでいるのだ。