アムネスティのアニェス・カラマール事務総長は、次のように述べている。「強制退去、アパルトヘイト(人種隔離)、不法な軍事占領といった行為が実行されてきた現状を鑑みるに、導き出される合理的な結論は一つしかない。すなわちイスラエルの狙いは、(イスラム組織)ハマスを壊滅するという軍事目標の達成と並行して、あるいはその手段として、ガザ地区のパレスチナ人を肉体的に破壊することである、という結論だ」
ジェノサイドは、「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」の第2条で「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われた行為」と定義され、具体的な禁止行為が挙げられている。この「破壊する意図」が明確にあったかどうかは、立証が非常に困難な犯罪構成要件である。
イスラエルがガザ地区でパレスチナ人に対してジェノサイドを行っていると非難されるのは、これが初めてではない。事実、南アフリカ政府はこの訴えをもとに、ジェノサイド条約違反の疑いで昨年12月29日にイスラエルを国際司法裁判所(ICJ)に提訴した。
訴状(申立書)は「イスラエルの行為および不作為」について「ガザのパレスチナ人を、より広範な国民的、人種的、民族的集団の一部として破壊する」という「明確な意図をもって行われているため、ジェノサイドの性質を有する」と主張。「ガザのパレスチナ人に関して、イスラエルがその国家機関、国家代理人、およびその指示・指導・管理・影響の下で行動する個人・団体を通じて行っている行為は、ジェノサイド条約に基づく義務に違反している」と訴えた。ICJはイスラエルに対し、南アフリカが申し立てた行為をやめるよう繰り返し暫定措置命令を出した。
アムネスティの最新報告書は、2023年10月7日から2024年7月初旬までに起こったことを対象とし、パレスチナ人の被害者・生存者および目撃者、ガザ地区当局者、医療従事者ら212人への聞き取り調査に基づいている。報告書の作成にあたり、アムネスティは現地調査を実施し、衛星画像を含む広範な視覚的証拠とデジタル証拠を分析。イスラエル政府や軍の高官、イスラエル政府機関が出した声明の分析も行った。