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2024.12.07 09:00

「まるで人間以下の存在」 イスラエルのガザ攻撃はジェノサイドとアムネスティ報告書

パレスチナ自治区ガザ地区北部のベイトラヒヤで2024年11月5日、イスラエルによる激しい攻撃により生活環境と人道状況が悪化したことを受け、避難を余儀なくされたパレスチナの人々(Mahmoud ssa/Anadolu via Getty Images)

アムネスティは調査結果をイスラエル当局に複数回にわたって伝えたが、報告書発表までに実質的な回答は得られなかったという。

報告書には次のように記されている。「2023年10月7日のハマスによる攻撃を受けてイスラエルがとった行動は、ガザの住民を壊滅寸前の状況に追い込んだ。その残虐な軍事攻撃により、2024年10月7日までに、1万3300人以上の子どもを含む4万2000人以上のパレスチナ人が死亡し、9万7000人以上が負傷した。その多くは、直接的な攻撃や意図的な無差別攻撃によるもので、多世代にわたる家族全員が犠牲となったケースも多い」

「もたらされた前例のない破壊は、専門家によれば、21世紀のどの紛争とも比較にならない規模とスピードで進行した。都市全体が跡形もなく叩き潰され、重要なインフラ、農地、文化・宗教的施設が破壊された。その結果、ガザ地区の大部分が人の住めない環境となった」

パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2024年12月6日、慈善団体の食料配給に殺到するパレスチナ人避難民(Abed Rahim Khatib/Anadolu via Getty Images)

パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2024年12月6日、慈善団体の食料配給に殺到するパレスチナ人避難民(Abed Rahim Khatib/Anadolu via Getty Images)

アムネスティは、イスラエルがガザ地区に栄養失調、飢餓、病気が蔓延する生活環境を強制的につくり出し、パレスチナ人をゆっくりと確実に死に至らしめていると主張している。その上で「アムネスティが調査した行為の一部は、単独で見れば、国際人道法または国際人権法の重大な違反に相当する。しかし、イスラエルの軍事作戦の全体像と、その政策や行為の累積的な影響を考慮すると、ジェノサイドの意図こそが唯一の合理的な結論である」と述べている。

アムネスティは、国際刑事裁判所(ICC)の検察局(OTP)に対し、イスラエルの指導者に対する容疑にジェノサイドを加えることを検討するよう求めている。ICCの第一予審裁判部は2024年11月21日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前国防相に逮捕状を出した。容疑は、少なくとも2023年10月8日~2024年5月20日の期間に犯した人道に対する罪と戦争犯罪で、ジェノサイドの罪は含まれていない。

ガザ地区のパレスチナ人の状況についてICJとICCが審理する際には、アムネスティや他の組織によって収集された証拠が、犯罪の法的定義や犯罪構成要件に関して確立された法解釈に照らして厳格な検証にかけられる。ICJの判決が下るまでには何年もかかる。ICCは、逮捕状が執行され、国際犯罪の容疑者が法廷に出頭した場合にのみ手続きを進めることができるが、それも長い年月を要するかもしれない。

ICJやICCにおける進展とは関係なく、恐ろしい残虐行為は終わらせなければならない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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