北米

2024.12.07 11:00

王様のような「トランプの金遣い」、大統領再登板後も続けられるか?

次期米大統領のドナルド・トランプ(Anna Moneymaker / Shutterstock.com)

だが、そうした問題は発生したときと同様、突如として解消した。トランプは2022年に赤字続きだったホテルを3億7500万ドル(約562億円)で売却し、頭痛の種を他の投資家に託した(この投資家は債務を履行できず、結局ホテルの経営権を失った)。一方、トランプのゴルフ事業は、世界がパンデミックから立ち直るにつれて繁盛した。寄付者らがトランプの政治団体に資金を提供し続けたため、トランプは今年の大統領選で自己資金をつぎ込まずに済んだ。新しく立ち上げたソーシャルメディア事業の資金を外部から調達することすらできた。

トランプの広報担当者のスティーブン・チャンは、この記事に関連する一連の具体的な問い合わせに応じず、代わりにトランプを讃える声明を出した。声明には「トランプ大統領は史上最も成功した実業家の1人であり、大統領になった」「彼はニューヨークの街並みを再定義する歴史に残る有名なビルを建設し、受賞歴のあるゴルフコースを世界中に作った」とある。

ニューヨーク五番街にあるトランプタワー(Chie Inoue / Shutterstock.com)

ニューヨーク五番街にあるトランプタワー(Chie Inoue / Shutterstock.com)

ホワイトハウスへの復帰という大きな節目を前にして、トランプの財政は予断を許さない状況にある。トランプ・オーガニゼーションの経営は順調で、1期目時よりも無駄を削ぎ落とし収益性が高い。赤字の事業が少なくなったことで、トランプの2025年の支出は5000万ドル以下と、記憶にある限り最も少ない額になるかもしれない。

だがそれはすべてがトランプの思い通りにいくと仮定した場合の話で、そうはならないかもしれない。トランプがニューヨークに所有する不動産の1つが、来年7月6日に借入金1億1700万ドル(約175億円)の返済期限を迎える。まだ借り換えていないトランプは、返済するために自己資金を注入しなければならないかもしれない。訴訟も重くのしかかっており、トランプは現在控訴中の3件の訴訟で利息含め総額5億7800万ドル(約866億円)を支払わなければならない。資金繰りが悪化すれば、大統領在任中にトランプの手下らが資産売却や借り換えに奔走することもあり得る。

ニューヨークにあるトランプ・ワールド・タワー(Popova Valeriya / Shutterstock.com)

ニューヨークにあるトランプ・ワールド・タワー(Popova Valeriya / Shutterstock.com)

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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