ビジネス

2024.12.22 13:15

「変わり続ける老舗」 220周年を迎えたミツカンの変革と挑戦

資源を再利用するSDGsブランドの可能性

ミツカンは現在、健康志向のブランド「Fibee」と「ZENB」を展開している。Fibeeは体内環境をサポートする発酵性食物繊維がポイントの商品だ。ルイボスティーやワッフル、カレーなど様々な商品が展開されており、発酵性食物繊維をいつでも手軽に楽しむことが出来る。現在はミツカン自社ECサイト等で購入可能である。ZENBは今まで捨てられてきた植物の皮、芯、さや、種、わたを余すことなく使うことで資源の効果的な活用と、廃棄してしまっていた栄養価の高い部分を生かした商品を提供している。
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また、お酢の新たな可能性として近年はアルコール業界とお酢を組み合わせる活動を行なっている。最近では居酒屋等で「ぽん酢サワー」という商品やポスターをよく見るようになったが、この開発はぽん酢の売り上げを大幅に伸ばすこととなった。ぽん酢の売り上げがそこまで大きくなかった際に若手の社員にブランドを立て直すように依頼したところ、ぽん酢がお酒に合うかもしれないというアイディアから生まれた。コロナ禍で苦戦はしたものの飲食店とコラボして提灯やグッズを作ったり、顔写真を張ってオリジナルのぽん酢のラベルを作れるようにしたりと試行錯誤し活性化させることに成功した。現在は日本酒メーカーと共同でゆず果汁と日本酒を使ったカクテルのメニューをアジアで展開、外食店に提案しているという。ミツカンはポップアップストアとしてキッチンカーを代官山や青山で出し、顧客の声を聞きながらブランドの世界観を伝えている。今後もそのような活動を積極的に行っていきブランド構築と商品力を高めたいと話した。

革新を恐れず未来へ:「脚下照顧に基づく現状否認の実行」

ミツカンは220年続く老舗でありながら、常に変革と挑戦を続ける姿勢を持ち続けていることがその秘訣なのだろう。同社の企業理念の一つに「脚下照顧に基づく現状否認の実行」というものがある。何を変えて何を大事にするのかという軸を持ちながら、業績が良い時でも常に足元を照らしてどんどん積極的に変えていくということを目指しているそうだ。同じことを繰り返して現状維持をすることも必要だが、それでは守りに走って縮小均衡していく恐れがある。時間が経てばたつほど、規模が大きくなればなるほど積み上げてきたものを変えることで不安や恐怖を感じることはある。しかし、リスクを最小にしながらスピード感を持って変えていくことが非常に重要なのだと中埜氏は説明した。長寿企業としての歴史を背負い、今後もミツカンは世界中で愛される存在を目指し変革と挑戦を続けていくだろう。

文=戸村光

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