海外

2024.12.30 09:00

欧州の新たな「スタートアップ基地」として注目のスイスの実力

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ファウンダーフルは、スイスが彼らの本拠地になり得ると主張する。その根拠の1つは、スイスのローザンヌとチューリヒにある工科大学の質の高さにある。チューリッヒ工科大学(ETH)は、大学からスピンアウトしたベンチャー企業の数が世界最多となっており、スイスがグローバル・イノベーション・インデックスで13年連続首位を獲得している理由の1つとなっている。
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また、グーグルはスイス国内に5000人の開発者を抱え、ディズニーやエヌビディア、メタ、ファーウェイ、インテルも同国に大規模な研究開発チームを置いている。

複数のユニコーン

シュトックルは、成功が成功を生んでいると指摘する。「5年前まで、スイスのユニコーン企業は、旅行・観光を手掛けるGetYourGuideの1社だけだったが、今では複数のユニコーンが存在する」と彼は言う。その中には、ロジスティクス企業のScanditや炭素回収を手掛けるClimeworks、インターネット・セキュリティ企業のSonarSource、広く支持されているスポーツ用品企業のOnなどが含まれる。

ファウンダーフルの投資家リストには、これらの企業の創業者や幹部が多く名を連ねている。スイス出身の教育テクノロジー企業Duolingo(デュオリンゴ)の共同創業者でCTOのセヴリン・ハッカーもファウンダーフルに出資している。「ファウンダーフルは、欧州で最も有望なVCの1つだと言える」とハッカーは述べている。

ファウンダーフルは、新たなファンドによってスイスで急増しているユニコーンがさらに増えることを期待している。現状で17社に出資している同ファンドは、今の後3~4年でポートフォリオを約40社に拡大する計画で、投資先にはシリコンチップの新たな製造方法を開発中のChiral Nanoや、製造分野の3Dプリンティングを専門とするSaeki Robotics、発展途上国が重要な医薬品を入手できるよう支援するAxmed Healthが含まれる。
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シュトックルによると、ファンドの投資家たちは、これらのスタートアップの可能性を信じているという。「スイスは今後、世界のハイテク業界で大国の地位に浮上しようとしている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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