Adobe(アドビ)が発表したデータによると、今年のホリデーシーズンには過去最高水準の消費支出が見込まれており、「2024年のホリデーシーズンに、消費者はオンラインで過去最高の2408億ドル(約35兆円)を支出すると推測される。これは2023年と比べると8.4%増となる」と同社では予想している。そのような大いなる活況が、FBIなどが警告している「詐欺師たちの楽園」を作り出すのだ。
顧客管理システムで知られるSalesforce(セールスフォース)も、今年の記録的な消費を予想している。同社では「感謝祭におけるオンライン販売の売上高は、世界全体で6%増の336億ドル(約5兆300億円)に達した。米国市場だけでも8%増の81億ドル(約1兆2100億円)。欧州も際立っており、10%増となった」と(TechCrunchを通じて)報告している。
サイバーセキュリティの観点から見ると、アドビの報告で際立つ統計は、全体的な売上高ではなく、モバイル機器を通じて行われた買物による売上が占める割合だ。「2023年のホリデーシーズンには、モバイル機器による売上がデスクトップ機器による売上を一時的に上回ったが、2024年にはさらにこの傾向が顕著になるだろう。アドビの予想によると、モバイルによる売上の割合は、オンラインショッピング全体の53.2%を占めるという記録的な数字に達し、1280億ドル(約19兆1600億円)に達する見込みである」とのこと。
これは重要なことである。なぜなら、スマートフォンなどのモバイル機器の小さな画面で詐欺を見抜くことは、より大きな画面を持つデスクトップPCやノートPCよりも難しいからだ。短縮されたURLや、小さな画面に最適化したリンク、そしてソーシャルメディアやメッセンジャーで送られてくるワンクリック攻撃は言うまでもないだろう。モバイル機器ではアプリとブラウザ間の連携が容易であるため、これらのすべての罠に簡単に引っかかりやすいのだ。
友達や家族と座ったままで、大きな画面を開くことなく、ネットショッピングできる簡便さを考えれば、モバイル機器による購入額が今やこれほど高くなっている理由は明らかだ。セールスフォースによると、感謝祭当日のモバイル機器からの注文は昨年の3%増となり、調査したこの日の注文全体における70%以上を占めたという。