セールスフォースのQ3決算
セールスフォースの2024年第3四半期(Q3)決算における収益は、前年同期比8%増の94億ドル(約1兆4100億円)で、これは主にサブスクリプションとサポート業務による収益が前年同期比9%増の89億ドル(約1兆3400億円)となったことに起因する。特筆すべきは、現在の「Remaining Performance Obligation(RPO、まだ認識されていない契約に基づく将来のすべての収益を指す同社の独自指標)」が264億ドル(約3兆9700億円)で、前年同期比30%増と堅調に推移していることだ。同社が手掛けるAIエージェントのAgentforceが成長を牽引している。同社は提供するサービス全体にAI機能を導入し続けており、その結果として、サービス全体の導入数が増加している。増収となっただけでなく、Q3決算における調整後の営業利益率も前年同期比で1.9ポイントの改善となる33.1%となった。増収と利益率の拡大により、最終利益は前年同期比14%増の2.41ドルだった。セールスフォースが発表した業績見通しでは、Q4における収益成長率は7~9%の範囲となり、EPSは2.57~2.62ドルの範囲になると予想されている。
セールスフォースの目標株価と今後の動向
S&P500種株価指数が年初来で約26%上昇する中、セールスフォース株は同期間で40%上昇した。しかし、ここ数年間におけるセールスフォース株の年間リターンは、S&P500よりもかなり変動が大きい。同株の年間リターンは、2021年に14%、2022年にマイナス48%、2023年に98%だった。私たちは、今回の決算発表で株価が約10%急騰した結果、セールスフォース株にはほとんど上昇の余地が残されていないと考える。私たちはセールスフォースの目標株価を390ドルとしている。これは、2026年度の予想EPSを11.77ドルとし、それに過去2年間の平均PER(株価収益率)である32倍に近い、33倍の倍率を掛け合わせたものだ。
ただ、今後の業績動向としては、提供サービスに対するAIの導入拡大が続き、利益率の改善にも注力していることから、同社は今後数年間で堅調な収益成長を遂げる可能性が高いだろう。さらに、同社は株主還元の強化も視野に入れている。同社は今年、自社株買いに80億ドル(約1兆2000億円)近い資金を投じている。
(forbes.com原文)