「数学の天才」から起業家に
シリコンバレーのCognitionの支持者たちは、同社を立ち上げた3人の創業者たちが、オリンピックに例えれば金メダル級の能力を持つプログラマーだと信じている。ウーは、小学生の頃から数学の天才と呼ばれ、競技プログラミングサイトのCodeforcesで最高ランクの称号を持っている。評価額76億ドル(約1兆1500億円)のフィンテック企業RampのCEOで、Cognitionのエンジェル投資家のエリック・グリーマンは、「スコット(・ウー)は、私がこれまで出会った中でトップ5のIQを持つ人物だ」と語る。AI関連のスタートアップに特化したベンチャーキャピタルConvictionの創業者サラ・グオも、「スコットは明らかに天才で、好奇心旺盛で、限りない野心を持っている」と語る。彼女は、これまでの3つのラウンドのすべてでCognitionに投資した。
ウーが以前に広く注目を集めたのは、2019年のフォーブスの「30 UNDER 30」に選出されたときのことだった。その当時の彼は、ネットワーキングミーティングをAIでアレンジするサービス「Lunchclub」で話題となっていた。このスタートアップは、3000万ドル(約45億円)を調達し、現在も事業を続けている。
ほぼ無名のスタートアップだったCognitionが3月に正式リリースしたDevinは、その直後から大きな注目を集めた。X(旧ツイッター)で3000万回以上再生されたデモ動画は、Devinが「主要なAI企業の実際のエンジニアリング面接に合格」し、「複雑なコーディングタスクを完成させた」と主張した。これを見た多くのプログラマーが、Devinの技術力を称賛したが、職を失うことを恐れる人もいた。