AI

2024.12.11 08:00

「プログラマーが恐れる」仕事を奪うAIツールDevinを生んだ28歳の起業家

Shutterstock.com

ピーター・ティールのファウンダーズファンドとコースラベンチャーズは、2024年4月のシリーズBラウンドでCognitionに1億7600万ドル(約265億円)を投資し、設立からわずか6カ月の同社の評価額を20億ドルに引き上げた。この資金注入は、同社が1月に完了した2100万ドル(約32億円)のシリーズAラウンドからわずか3カ月後に実施された。

「数学の天才」から起業家に

シリコンバレーのCognitionの支持者たちは、同社を立ち上げた3人の創業者たちが、オリンピックに例えれば金メダル級の能力を持つプログラマーだと信じている。ウーは、小学生の頃から数学の天才と呼ばれ、競技プログラミングサイトのCodeforcesで最高ランクの称号を持っている。評価額76億ドル(約1兆1500億円)のフィンテック企業RampのCEOで、Cognitionのエンジェル投資家のエリック・グリーマンは、「スコット(・ウー)は、私がこれまで出会った中でトップ5のIQを持つ人物だ」と語る。

AI関連のスタートアップに特化したベンチャーキャピタルConvictionの創業者サラ・グオも、「スコットは明らかに天才で、好奇心旺盛で、限りない野心を持っている」と語る。彼女は、これまでの3つのラウンドのすべてでCognitionに投資した。

ウーが以前に広く注目を集めたのは、2019年のフォーブスの「30 UNDER 30」に選出されたときのことだった。その当時の彼は、ネットワーキングミーティングをAIでアレンジするサービス「Lunchclub」で話題となっていた。このスタートアップは、3000万ドル(約45億円)を調達し、現在も事業を続けている。

ほぼ無名のスタートアップだったCognitionが3月に正式リリースしたDevinは、その直後から大きな注目を集めた。X(旧ツイッター)で3000万回以上再生されたデモ動画は、Devinが「主要なAI企業の実際のエンジニアリング面接に合格」し、「複雑なコーディングタスクを完成させた」と主張した。これを見た多くのプログラマーが、Devinの技術力を称賛したが、職を失うことを恐れる人もいた。
次ページ > Devinはより多くのプロジェクトに取り組むことを可能にし、より意義深い仕事に人間が集中できるようにする

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事