同社は、プログラム開発のすべての工程を自動化するAIツール「Devin」を今年3月にリリースし、大きな注目を集めている。
昨年のクリスマスの直前、サンフランシスコに拠点を置くCognitionのチームは、複雑なデータサーバのセットアップに苦戦していた。彼らは数時間をかけてドキュメントを読み込み、さまざまなコマンドを試してみたが、どうしても動作させることができなかった。疲れ果てた彼らは、まだ立ち上げたばかりの自社AIツール、Devinに任せてみることにした。
AIが動作を開始すると、その行動に開発者たちは困惑した。共同創業者でプロダクト責任者のウォルデン・ヤン(21)は、Devinが「まるで魔法や呪術に見えるようなコマンドを実行していた」と振り返る。一時は失敗するかと思われたが、しばらく経つと赤く点灯していたターミナルのランプが緑に変わった。データサーバが起動したのだった。
Devinは、チームが見逃していた壊れたシステムファイルを削除していた。「AIを使えば、コーディングがどれほど変わるかをその瞬間に実感した」とヤンは語る。
その時、Devinが成し遂げたことは、「人間のエンジニアをコーディング作業から解放する」というCognitionのビジョンを実証することとなった。それから1年が経った今、Devinはバグの検出や修正、コードの更新、プラットフォーム間でのコード移行といった基本的なエンジニアリングタスクを担当している。このツールは、「コードベースを整理して」といった簡単な指示を与えるだけで、行動計画を立ててそれを実行する。ほとんどの場合、それはうまく機能する。