思いやりは、つながりを育むだけでなく、職場の士気を高め、従業員が活躍できる文化を創造する。従業員が、経済的不安や過負荷といった課題に直面しているとき、思いやりというシンプルな行動は大きな変化を生み出す。
思いやりはもはや、任意の行動とは見なされていない。健全な職場文化に不可欠なものだ。職場での思いやりがなぜ重要なのか、そして、それが組織と従業員にどのような長期的利益をもたらすかを探っていこう。
職場での政治的な会話が、より一般的になっている
かつてないほど二極化した選挙を経験した米国が、政治的に分裂していることは明らかだ。その結果、職場で政治の話をすることは微妙な問題になっている。ソーシャルメディアで自分の意見を共有する人が増え、リモートワークをしている人も多いため、私生活と仕事の境界はどんどん曖昧になっている。また、従業員は職場にありのままの自分を持ち込みたいと考えており、それには職場で政治の話をすることも含まれている。
そのため、職場での思いやりは不可欠だ。リーダーは、すべての声が尊重される包摂と敬意の文化を強調すべきだ。その一例として、アクティブリスニング(積極的傾聴)などの健全なコミュニケーションの研修を、チームで受けることが挙げられる。アクティブリスニングを習得すれば、他者の感情や視点を理解できるため、対立の回避や解決に役立つ。また、差別や敬意を欠いた言動を防ぐためには、リーダーが、議論がどのように運営されるべきかについて基準を設定することもできる。
従業員エンゲージメントが低い
Gallup(ギャラップ)は従業員エンゲージメントについて、「仕事や職場に対する従業員の関与と熱意」と定義している。しかし残念ながら、従業員エンゲージメントが高いのは、全世界の従業員のうち、わずか23%にすぎない。人々が求めているのは給料だけではない。人々は、キャリアを次の段階に導いてくれるような上司と、健全な関係を築きたいと考えている。実際、思いやりのある上司は、従業員エンゲージメントの重要な要素と見なされている。
だからこそ、職場での思いやりは、リーダーがそれぞれのチームメンバーを理解するためのトレーニングから始まる。優秀な上司は、チームメンバーそれぞれのユニークな才能を把握しており、組織に価値をもたらすチャンスを提供することができる。
従業員エンゲージメントを高めるもう1つの方法は、企業戦略として、報酬や表彰の仕組みを構築することだ。リーダーは、従業員の仕事が組織の成功にどうつながるかを説明することで、従業員が求められていることを理解するよう、助けることができる。