サステナブル調達を日本がリードするために必要なこと

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製造業を中心に、サプライチェーン上に多くのパートナー企業を抱える日本企業。

サプライヤーと気候変動対策を進めるためにすべきことを、サステナビリティ経営の専門家に聞いた。


──企業のサステナブル経営の現状をどう分析しているか。

原田卓哉(以下、原田企業による経営改革の意識は高まりつつある。 CDPを通じて非財務情報の開示に取り組む企業も毎年増えている。2023年は世界で2万3000社が情報開示をした。これは前年比24%の増加だ。日本企業についても対前年で16%増えている。

ただし、取り組みはまだ十分ではない。国連環境計画(UNEP)の最新リポートによると、世界の温室効果ガス(GHG)の排出量は22年に過去最高を記録した。15年の「パリ協定」で排出削減の国際的な合意が得られてからほぼ10年がたったが、排出量は減少していないことになる。

近年重要性が増す「1.5度目標」に整合した気候移行計画についても、財務計画、科学に基づく目標設定、ネットゼロへの戦略、バリューチェーンエンゲージメントなどで特に改善が必要だ。CDPの評価では、信頼性のある計画を策定している企業数は全世界でわずか0.6%にすぎない。

──サプライチェーンにおける「サステナブル調達」の重要性が指摘されている。

原田:サプライチェーン関連のScope3は、Scope1+2(自社の操業に伴うGHG排出量)の26倍ともいわれている。Scope3の削減は喫緊の課題だ。より厳格なカーボンプライシングが導入された場合、サプライヤーの排出量によって企業の調達コストが大きく上昇するなどの悪影響が考えられる。また、排出量が多いとサプライヤーの評判リスクや訴訟リスクを招きかねない。サプライヤーに対して積極的に働きかけ、排出量を低減し、自社のバリューチェーン全体のリスクをしっかり管理することが非常に重要になっている。

現状を見る限り、対策は遅れている。上流Scope3について具体的な目標を設定している企業は15%にとどまっている。サプライチェーンのリスクに対応できなかった場合の財務影響額とリスクに対応するためのコストを比較すると、対応しない場合は約3倍コストがかかるという試算もある。この数字を見ても、リスクを理解し適切に対応することが必要だ。
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文=中田浩子

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