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2024.12.05 12:00

米半導体マーベルが時価総額1000億ドル突破、「次のエヌビディア」への期待

bluestork / Shutterstock.com

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米半導体大手マーベル・テクノロジーの株価は、12月4日に過去最高値に急騰し、時価総額が初めて1000億ドル(約15兆円)を突破した。この株価の急騰は、第3四半期の予想を上回る決算発表と、アマゾンとの戦略的提携の拡大を受けてのものだ。

マーベルの株価は、4日の終値で前日比23%高の約118ドルに達した。これにより、同社の時価総額は前日の830億ドルから1023億ドル(約15兆4000億円)に上昇した。マーベルが3日に発表した第3四半期の売上高は15億2000万ドル、調整後1株当たり利益は0.43ドルで、アナリスト予想の売上高の14億5000万ドルと、1株当たり利益の0.41ドルをいずれも上回った。

同社は、今後のAI需要の急増による収益の増加を見込んで第4四半期の業績見通しを引き上げ、売上高が17億1000万ドルから18億9000万ドル、調整後1株当たり利益が最大0.65ドルに達すると予想した。これはアナリスト予想の0.52ドルを大きく上回る額だ。

マーベルはまた、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との既存のパートナーシップを5年契約で拡大し、カスタムAI製品を含むデータセンター向け半導体で、AWSのコスト削減を支援すると2日に発表した。

ベンチマーク・リサーチのアナリスト、コーディ・アクリーは、3日のノートでマーベルはAIとデータセンター市場において「エヌビディアに代わるユニークな選択肢」だと述べている。一方、UBSは、マーベルのAI収益が2025年に36億ドル(約5420億円)に達し、目標の25億ドルを大幅に上回ると予測している。

マーベルの株価は、年初来で103%高となっている。

アナリストは、マーベルがAI市場におけるエヌビディアの脅威になる可能性があると指摘するが、エヌビディアの株価も3日に3.7%上昇した。バンク・オブ・アメリカのジャスティン・ポストによれば、アマゾンはエヌビディアの半導体に200億ドル(約3兆円)以上を支出したのに対し、マーベルへの支出額は10億ドル(約1500億円)から20億ドル(約3000億円)程度という。

エヌビディアは、AWSとの提携で「Project Ceiba(プロジェクト・セイバ)」と呼ばれるAI向けスーパーコンピュータを開発中で、このシステムには2万以上の同社のBlackwell GPUが使用されている。

マーベルの株価は今年、生成AI向けの高度なチップの需要の増加を受けて上昇した。アマゾンは、マーベルとのパートナーシップで、社内で独自のチップを開発中だが、エヌビディアとマーベルを含む外部の企業に依存してAIプロダクトを開発している。

マーベルはまた、エヌビディアに代わるカスタムAIチップの提供に向けて、アマゾンやグーグル、マイクロソフトらから打診を受けたと報じられている。

ロイターによると、マーベルのマット・マーフィーCEOは、1日付けでパット・ゲルシンガーCEOが退任したインテルから次期CEOへの就任を打診されたが、このオファーを断ったという。6月にマーベルのCEOに就任したばかりのマーフィーは、3日のアナリスト会議で「100%マーベルの成長に集中している」と語ったとされる。

forbes.com原文

編集=上田裕資

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