そんな現代だからこそ、短期的な利益や課題解決だけではなく、未来の世代にどのような社会を残すかを考える責任を自覚して未来を見据え、今の選択が持つ意味を理解することが重要だ。
11月、日本の経済・文化の中心地である丸の内で開催された「FUTURE VISION SUMMIT 2024」は、最新技術や社会課題に取り組むリーダーたちが一堂に会する、未来を見据えた対話の場だった。
社会や経済の未来というテーマに対して、経済活動とは異なる価値観で動くアートによるビジョンメイキングを交えて考え、正しい問いをつくり、豊かに想像し、強度のあるビジョンを描いた行動へと繋げていくことを狙いとする。
イベントは、大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)、有楽町アートアーバニズム (YAU)実行委員会、Forbes JAPAN、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会からなる実行委員会で運営され、PwC、東邦レオ、デンソー、乃村工藝社が協賛。3日間にわたり、リーダーたちのビジョンが示される“カンファレンス”と、アートを媒介とした実践や実験的な取り組みを展示・体験する“ショーケース”が展開された。
未来の可能性をあらゆる角度から探る
11月13日と14日の2日にわたって丸ビルホールで開催されたカンファレンスには、企業のリーダーを中心に、クリエイティブクラスや学生まで多様な聴衆が訪れた。初日には、都知事選で注目を集めた安野貴博が、2日にはストリートカルチャーを牽引する藤原ヒロシがKEYNOTEに登壇。そのほか、NYのアートインキュベーター「NEW INC」とオーストリアの国際文化機関「アルスエレクトロニカ」の実践に触れるセッション、U30世代たちと50年後を考えるセッション、アーティストによるピッチなど、“アートとビジネス”の枠にとどまらないさまざまなトークが行われた。
並行して丸ビルから徒歩数分の国際ビルで繰り広げられたショーケースでは、ビルの各所にアーティストの作品が展示され、小さなさざなみが立てられていた。その傍らで、「アーティストと都市ガラスのサーキュレーションを考える」トークセション、「大丸有というまちでのクリエイションについて」若いアーティストたちが語るセッション、「本質的な人間の多様性からキャラクターをつくる」をテーマにしたワークショップなども開催された。
大手町・丸の内、そして有楽町という東京駅周辺エリアを起点に、さまざまな視点からの未来に向けた取り組みや問題設定、そしてその真髄に迫ろうとする試みを掘り下げていく。