ネコはなぜ、これほど恐るべき捕食者なのか?
ネコの侵略性は、生物学的特徴と、ヒトからの援助の両方に起因しており、その複合効果は壊滅的なものになり得る。・高い繁殖能力
1匹のメスネコは、最適な条件下では、生涯に最大180匹の子を産むことができる。このような指数関数的な増殖により、ノネコの個体群は、特に食料が豊富で捕食の脅威がほとんどない環境では、短期間で定着し急速に拡大する。
・汎用の狩猟スキル
ネコは、多様な獲物を捕殺することができ、鳥類、齧歯類、爬虫類に加え、昆虫までも捕食する。飛び出し式の爪、鋭い歯、鋭い夜間視覚、卓越した聴覚をもつネコは、昼夜を問わず優れたハンターとして活動する。
・肉だけで生きていける
ネコは、腹が満たせるかぎり、どんな動物の肉も口にする。長い進化の歴史のなかでネコは、動物組織とそこに含まれる代謝水だけで生きていける能力を身につけた。これによりネコは、フレキシブルな捕食者として、食性をたやすく順応させ、どんな環境でもしたたかに生きられる。
・行動面での順応性
単独性かつ地上性のハンターであるネコは、忍び寄りと待ち伏せの戦術で、獲物の不意をつく。ネコの辛抱強さと執拗さにより、極めて用心深く目立たずに行動する動物でさえ、彼らの餌食になってしまう。
・ヒトによる援助への依存
他の侵略的外来捕食者と異なり、イエネコは、ヒトから直接的および間接的な援助を受けている。ノネコの多くは、残飯、生ゴミ、あるいは善意の人々による意図的な餌付けに依存しており、これにより餓死など自然界の淘汰圧を回避している。十分に餌を与えられたイエネコでさえ、楽しみのために狩りをして、生態系に悪影響を及ぼす。
ネコによる捕食被害は甚大だが、生態系撹乱を防ぐ取り組みにおいては、しばしば「定着地からの排除」以外の方法が取られる。ノネコの個体数抑制を目的とした手法である、TNR(捕獲・不妊化・再放獣)などだ。しかし、ネコはほぼすべての陸地に存在し、新たな土地への進出能力も高いことから、ネコが南極を除くすべての大陸で影響を及ぼし続けることは避けられない。
ネコは多くの人々にとって最愛の伴侶だが、世界最悪レベルの侵略的外来種という側面を考えれば、責任ある飼育が重要であることは明らかだ。伴侶動物への愛情と、危機にある野生動物を保護するための緊急措置を両立させることは、難しい課題ではあるが、現代の自然保護における私たちの義務と言える。
(forbes.com 原文)