ハワイガラスについては、野生への再導入計画が進行中だが、ネコが島の生態系にもたらす悪影響に疑問の余地はない。これは、島に生息する在来種がとりわけ無防備であるためだ。例えば、ガラパゴス諸島に分布する、絶滅寸前のガラパゴスシロハラミズナギドリ(学名:Pterodroma phaeopygia)にとっては、依然としてノネコが最大の脅威だ。
島の食物連鎖の頂点に立つネコ
ネコによる生態系の破壊は、島と本土とで大きく異なる。島に生きる在来種はしばしば、主要な捕食者がいない環境で進化してきた。そのため、ネコが壊滅的被害をもたらすことがある。地上営巣性の鳥類、動きの遅い爬虫類や小型哺乳類は、とりわけ無防備だ。
これらの種が自衛手段をもたないことと、ネコの高い狩猟能力が合わさった結果、個体群の崩壊や絶滅が引き起こされてきた。
島の生態系は本質的に脆弱で、ネコのような頂点捕食者の導入は、その繊細なバランスをかき乱す。事実、島の生態系では、ネコのせいで保全上の懸念対象となる種が、本土の生態系と比べて3倍とされている。
本土でのネコの影響には、ばらつきがある。
本土の在来種はふつう捕食者と共存してきた歴史をもつが、それでもネコは、とくに都市と郊外の環境において重大な脅威となる。こうした環境で、ネコは断片化した生息地に侵入し、小型哺乳類や鳥類の健全な個体群を食い荒らし、もとより人間の開発圧を受けている生態系をさらに脅かすのだ。
ネコの存在が在来捕食者を圧倒し、それらに取って代わることで、食物連鎖を撹乱することもある。ただし、本土では概して、捕食者や競合種の多様性の高さが影響を緩和するため、島々で見られるレベルの惨状に至ることはない。