ウェブマーケティングやメディア事業を行うアドバンは、ふるさと納税を利用したことのある20歳から69歳の男女247人を対象にアンケート調査を実施した。それによると、ふるさと納税で獲得したポイントでもっとも多かったのが楽天ポイントだった。これが約4割と、そのほかのポイントを30ポイント以上引き離している。
しかし、ポイント付与がなくなったら、獲得したポイントが使えるサービスの利用頻度は減るかという問では、その可能性がもっとも高いのは航空会社系のサイトとなった。ANAやJALのサイトでふるさと納税を行いマイルをもらっていた人たちが、今後はあまりマイルで飛行機を乗らなくなることを意味している。
ポータルサイトの乗り換えの可能性に関する質問では、「確実に乗り換える」、「乗り換える可能性が高い」と答えた人が全体では5割近いのに対して、楽天ふるさと納税の利用者は35.5パーセントと低かった。これは、楽天やAmazonなどの大手ECサイトはふるさと納税に限らず日常的に買い物に利用している人が多く、ふるさと納税のポイントの影響が低いためだとアドバンは分析している。
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付を行うことで所得税の控除が受けられるという制度で、故郷を離れて暮らす人が、財政難に苦しむ故郷を助けようと寄付するというのが本来の目的だ。返礼品はそのオマケに過ぎないが、今では返礼品が目的化している面がある。そこに大手企業が運営するポータルサイトが現れ自治体間の返礼品競争が巻き起こり、さらにポイント付与が加わって競争が煽られる形になった。
ポイントの付与が寄附の呼び水になるという効果もあるだろうが、利用者がそのポイントを自治体に還元するとは限らない。かつては、海外の高級ブランド品や金券などを返礼品に設定する自治体も現れ問題視された。それでは、予算に余裕のある自治体に寄附が集中することとなり、均衡ある地方の発展を目指すふるさと納税の目的と矛盾する。
そこで国は、返礼品は地場産品で寄付額の30パーセント以下などの規制を設けたのだが、それならポイントだ、ということになり、今度はポイント競争が激化。またもや返礼品競争と同じうようなことが起きてしまったというわけだ。
どんな形であれ、財政が厳しい地方自治体にお金が集まればいいのだが、寄付獲得のための施策がかえって財政を圧迫する自治体すらある。どんな形であれ、財政が厳しい地方自治体にお金が集まればいいのだが、寄付獲得のための施策がかえって財政を圧迫する自治体すらある。ポイント禁止で、少し頭を冷やす必要がありそうだ。
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